1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞がん化に伴う細胞性遺伝子の発現制御の分子機構:コラゲナーゼ遺伝子の発現抑制因子について
Project/Area Number |
04680166
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金沢 浩 岡山大学, 工学部, 教授 (50116448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能見 貴人 岡山大学, 工学部, 助教授 (90189374)
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Keywords | 遺伝子発現 / 細胞がん化 / トランス因子 / シス因子 / ストロメリシン |
Research Abstract |
細胞がん化にともない発現誘導されるラットのストロメリシン遺伝子のプロモーター領域の発現調節に与るシスおよびトランス因子を解析した。ラットの繊維芽細胞継代株及びこれを人の活性化H-ras遺伝子でトランスフォームした培養細胞より核抽出液を調製し、DNaseフットプリント法、ゲルシフト法を用いて解析した結果、-100および-128領域に新たなシス因子とこれに結合するトランス因子を見い出した。-100領域には、ラット繊維芽細胞由来の32Kdの、またトランスフォームした細胞由来では60Kdのトランス因子が結合することが明かとなった。トリプシンによる限定分解など種々の解析から、両タンパク質は同一の構造を持つが、トランスフォーメーションにより一部構造変化がおこり見かけの分子量が変化するものである事が明かとなった。最近わずかに報告された同一遺伝子のスプライシングの変化による調節の可能性が高い。-128領域にはTREのハーフサイトが見いだされ、トランスフォームした細胞ではJunBとc-Fosがこれに結合し、-65領域に見られるTREへのこれらの因子の結合とあわせて転写の促進に働いていることが判明した。2つのTRE領域がどの様に関連するのか興味深い。シス領域に変異を導入したレポータープラスミドを作製し解析した結果、-100領域のトランス因子の結合は転写の抑制に寄与することが明かとなった。またトランスフォームした細胞でも因子の結合が転写に必須であるという興味深い結果が得られた。現在-100領域に結合するトランス因子をサウスウエスタン法でクローン化することを目指している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 藤原 正範,能見 貴人,井上 裕介 西村 昌子,原 芳和,金沢 浩: "活性化H-rasによるラット・ストロメリシン遺伝子の発現誘導とその転写調節領域の解析" 生化学. 64. 981 (1992)
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[Publications] 能見 貴人,原 芳和,増部 興作 井上 和俊,藤原 正範,金沢 浩: "ラット・ストロメリシン遺伝子発現調節に関与する転写活性化および抑制因子の解析" 生化学. 64. 981 (1992)