1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680171
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Research Institution | The University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊勢村 護 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40028197)
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Keywords | 細胞外マトリックス / フィブロネクチン / ラミニン / 細胞接着 / レセプター / 胎盤 / 癌転移 |
Research Abstract |
動物細胞の多くは、細胞外マトリックス基質に接着してはじめて増殖でき、その後の細胞機能を果たすことができる。この基質の成分としてフィブロネクチンやラミニンがあり、これらに対する細胞表面レセプターも明らかになっている。本研究では、1.ヒト胎盤成熟に伴う細胞の変化と細胞外マトリックス成分の変化を細胞表面レセプターに注目して解析し、2.癌細胞のテミニンやラミニンレセプターを解析して転移能との関係を探ることにより、細胞外マトリックスによる細胞制御機構を探ることを目的とした。 1.ヒト胎盤における細胞表面のレセプター(インテグリン)の発現を組織化学的に蛍光抗体法で調べた。その結果、初期胎盤絨毛の栄養膜細胞基底側にalpha5beta1インテグリンが発現されていることがわかり、フィブロネクチンレセプターを介して基底膜に接着しているものと考えられた。一方、満期胎盤絨毛では合胞体栄養膜細胞がalpha6beta4インテグリンを基底側に発現しており、このラミニンレセプターを介して基底膜に接着していると考えられた。すなわち、胎盤絨毛上皮細胞は上皮基底膜成分に対応したレセプターを発現しており、このレセプターの基底側へのクラスタリングが観察されたことから、接着情報がレセプターのクラスタリングの形で細胞内へ伝達されていき、細胞独自の機能を発現するものと考えられる。先に明らかにした細胞接着に必要なミオシンのリン酸化は、このクラスタリングに伴う細胞内骨格の再編成に関係していると思われる。2.次に、3LL細胞の高転移性株と低転移性株のラミニンと67K-ラミニンレセプターのmRNAレベルを比較検討した結果、ラミニンレセプターmRNAは変わらないが、ラミニンmRNAレベルは低転移制株の方が高いことがわかった。この結果から、ラミニンが未結合のレセプターが転移性に関係している可能性が考えられた。 以上のように本研究によって、細胞外マトリックスへの細胞接着による細胞機能発現制御の機構の一端が明らかになった。
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[Publications] 伊勢村 護: "Effects of catechins on mouse lung carcinoma cell adhesion to the endothelial cells." Cell Biol.Int.Rep.17. 559-564 (1993)
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[Publications] 鳴海 晃: "Difference in laminin expression between high and low metastatic cell clones derived from murine Lewis lung carcinoma." Cell Struct.Funct.18. 183-187 (1993)
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[Publications] 伊勢村 護: "Immunochmical localization of integrin subunits in the human placenta." Tohoku J.Exp.Med.171. 167-183 (1993)
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[Publications] 鳴海 晃: "Variety of laminin expressions in murine neoplastic cell lines:neuroblastoma NA cells produce only laminin B2 chain." Int.J.Oncol.4. 133-136 (1994)
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[Publications] 伊勢村 護: "細胞接着分子の構造と機能" Biomedical Perspectives. 2. 101-107 (1993)
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[Publications] 尾形有規、伊勢村 護: "緑茶の癌転移抑制効果" 組織培養. 20. 121-125 (1994)
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[Publications] 伊勢村 護: "癌転移の分子機構(鶴尾 隆編)" メジカルビュー社,東京, 10 (1993)