1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680173
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
深井 文雄 東京理科大学, 薬学部・臨床病態学教室, 助手 (90124487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 敬 東京理科大学, 薬学部・臨床病態, 教授 (00013897)
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Keywords | フィブロネクチン / フィブロネクチンフラグメント / 細胞遊走 / プロテアーゼ / 炎症 / レセプター |
Research Abstract |
I.フィブロネクチンの繊維芽細胞遊走作用発現におけるプロテアーゼによる活性化機構の究明 Sulfated Cellulofineを用い、尿素などのタンパク変性剤を使用することなく緩和な条件下に精製したフィブロネクチン(FN)はNIII‐L13繊維芽細胞に対し遊走作用を示さず、プロテアーゼによる限定分解によってはじめて活性を獲得する。生体中でいかなるプロテアーゼがFNの活性化に関与するかを明らかにすべく、炎症プロテアーゼとして知られるヒト血漿plasmin、好中球cathepsin Gおよびelastase、更にmatrix metalloproteinaseであるmatrilysin,stromelysin,gelatinase A,間質collagenase等の作用を解析した。Plasmin,matrilysin,collagenaseによるFNの分解では細胞遊走活性の増大は認められなかった。これに対し、elastaseとgelatinaseは強力な細胞遊走作用を示す2種の活性フラグメント(CellとIIep2ドメインを含むCell・IIepフラグメントおよびFib2ドメインを含むFib2フラグメント)を効率よく放出し、これにより両活性フラグメントに特有の細胞遊走活性の上昇が認められた。また本項目の解析の過程で、新たな作用を有する活性フラグメントの同定に成功した。すなわちFN分子はST‐13前脂肪細胞の脂肪細胞への分化を抑制するが、FNをプロテアーゼで限定分解するとST‐13細胞の分化を逆に強く促進するようになることを見出だした(Biochemistry,in press)。このFN分解物の分化促進活性はFNのN‐末Fiblドメイン由来のフラグメントに基ずいたものであること、更に、上記のelastase,gelatinaseはいずれも細胞遊走活性フラグメントのみならず、このFibl活性フラグメントも反応初期に極めて効率よく遊離することも明らかになった。以上の結果は、これらFN由来の活性フラグメントが炎症を始めとする生体現象に重要な関わりを持つ可能性を示唆するものであり興味深い。 II.細胞遊走活性フラグメントの作用を媒介するレセプターの同定 ^<125>I標識したNIII‐L13細胞の抽出液のCell IIep2またはFib2固定化ゲルを用いたaffinity chromatographyを行なった結果、Cell IIep2カラムからはα_5β_1integrinと考えられる分子がGRGDSP peptideによる溶出画分に得られたのに対し、Fib2カラムからはEDTA溶出画分に抗α_5β_1と反応しない分子量60‐90Kのタンパクの存在が認められた。この未知のタンパクは、Fib2フラグメントに応答性を示さないKN_78繊維芽細胞の膜抽出液からは検出されず、本タンパクがFib2フラグメントに対する特異的レセプターである可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)