1992 Fiscal Year Annual Research Report
血管および腸平滑筋ホスホリパーゼAの酵素化学的性質と生理的役割
Project/Area Number |
04680190
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東城 博雅 大阪大学, 医学部, 講師 (90135707)
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Keywords | ホスホリパーゼA_2 / 牛大動脈中膜 / ホスホリパーゼB / リン脂質 |
Research Abstract |
[目的]血管を構成する細胞におけるアラキドン酸遊離反応の解析は主に分子薬理学的な方法で多くの研究が報告されている。しかし、これらの研究ではPLA_2はblack boxとして扱われ、PLA_2を直接対象とした研究は、まだ少ない。ホスホリパーゼA_2(PLA_2)は、細胞刺激応答反応としてのアラキドン酸遊離反応の律速酸素として重要な役割を果たしている。最近の研究結果(我々の研究も含め)から、哺乳動物PLA_2には少なくとも3種類のアイソザイムが存在することが明らかにされている。本研究では、2種のPLA_2アイソザイムに対する抗体と、最近小腸より精製した新種のPLA_2に対する抗体を用いて牛大動脈中膜PLA_2と既知のPLA_2アイソザイムの免疫化学的異同を調ベ、このPLA_2を同定するためその精製を試みる。[結果]a.ウシ大動脈中膜上清画分のPLA_2活性は、標品調製直後は著しく低く種々の極性基のリン脂質、界面活性剤の影響など詳しく検討したが、有意な活性は検出できなかった。しかし、上清画分を滅菌状態、30℃でインキュベートすると約6時間のラグの後、徐々に酵素は上昇し、48時間後に最大値を示した。この活性化はカルシウムイオンで加速され、EDTAで完全に阻害される。このように活性化された標品からPLA_2を精製した。1.本酵素はホスファチジルエタノールアミン(PE)に特異性が高く、他のクラスのリン脂質より10倍高い活性を示す。2.groupI,II PLA_2と異なりPEリポゾームに高い活性を示すが、陰イオン性界面活性剤で阻害される。3.活性発現にカルシウムイオンが必須である。4.分子量約30,000である。5.グリセロリン脂質のsn-1とsn-2の両方にエステル結合を加水分解する。この性質は既に精製した小腸CA^<2+>非依存性PLBと類似している。b.ラット小腸PLBの部分一次構造を決定し、cDNAクローニングを開始した。本酵素はリパーゼ活性も持つ多機能酵素である。c.蛍光標識リン脂質、^<31>P-NMRによる反応産物分析法を確立した。
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[Publications] Tojo,H.,et al.: "Analytical and micropreparative high-performance gel chromatography of proteins with a short column" J.Chromatogr.605. 205-213 (1992)
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[Publications] Minami.T.,et al.: "Raised serum activity of phospholipase A_2 immunochemically related to group II enzyme in inflammatory bowel disease" GUT. 33. 914-921 (1992)
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[Publications] Shinohara,H.,et al.: "Group II phospholipase A_2 induced by interleukin 1 in cultured rat gingival fibroblasts." FEBS LETT.304. 69-72 (1992)
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[Publications] Tojo,H.,et al.: "High performance liquid chromatographic assay of phospholipases.application to spectrophotometric detection of rat phospholipase A_2 isozymes" J.Lipid Res.(1993)
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[Publications] Minami,T.,et al.: "Elevation of phospholipase A_2 protein in sera of patients with Crohns disease and ulcerative colitis" Am.J.Gastroenterol.
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[Publications] Yamamoto,K.,et al.: "Serum pancreatic phospholipase A_2 and prophospholipase A_2 in acute pancreatitis and after endoscopic retrograde paccreatography" Gasroenterologia Japonica.