1992 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質G_Oのサブタイプの分布と機能に関する研究
Project/Area Number |
04680205
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
浅野 富子 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・生化学部, 室長 (70100154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 理香 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 研究助手
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Keywords | G蛋白質 / サブタイプ / 組織分布 |
Research Abstract |
G蛋白質は細胞膜受容体と共役し、細胞外からの情報を細胞内へ伝達する役割を担っていると考えられている。G蛋白質のうち脳に高濃度存在するG_Oのαサブユニット(G_Oα)は、最近、遺伝子やcDNAの解析から異なるスプライシングにより少なくとも2種類発現することが予想され、実際蛋白質としても2種類の存在が示されている。脳に多く存在するサブタイプはG_OAα(G_O1α)、少量しか存在しないものはG_OBα(G_O2α)と呼ばれる。2種類のG_OαはC末端側の3分の1が異なっている。この領域には受容体およびエフェクターと相互作用する部位があると報告されており、両G_Oαは機能的に異なる可能性が考えられている。本研究はこれらのG_Oαのサブタイプがどのように分布するか、機能的にどのような差異があるかを明らかにすることを目的として行い、本年度は次のような成果を得た。 1.G_Oの2種類のサブタイプでアミノ酸配列が異なっている領域に一致したそれぞれのペプチドを合成しウサギを免疫してそれぞれの抗体を得た。2.両抗体を用いて2種類のサブタイプの組織分布を調べたところ、G_OAは神経系に非常に特異性が高く、一方、G_OBは広く末梢組織にも存在していた。3.例外的に精管と精嚢の平滑筋にG_OAが局在していた。4.ラットの発育に伴うこれらの脳内濃度変化を検討すると、両者共上昇を示したが、G_OBの方が遅れて上昇した。5.各種クローン化培養細胞には調べたいずれの細胞中にも両サブタイプがみいだされた。 今後は、両サブタイプの機能的差異を直接的に調べるため、G_Oと共役することが明らかになっているアデノシン、ムスカリン性アセチルコリン受容体とG_Oのサブタイプとの共役を再構成系を用いて検討したいと考えている。
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[Publications] Haruo Shinohara: "Differential localization of G-protein Gi and Go in the accessory olfactory bulb of the rat" The Journal of Neuroscience. 12. 1275-1279 (1992)
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[Publications] Tomiko Asano: "Two forms of Go type G proteins:Identification and distribution in various rat tissues and cloned cells" Journal of Neurochemistry. 58. 2176-2181 (1992)
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[Publications] Haruo Shinohara: "Differential localization of G proteins,Gi and Go,in the olfactory epithelium and the main olfactory bulb of the rat" Acta Anatomica. 144. 167-171 (1992)
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[Publications] Masato Nagahama: "Localization of GTP-binding protein Go in the enteric nervous system in rat ileum" Biol.Signals. 1. 266-274 (1992)
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[Publications] Rika Morishita: "Indentification and isolation of common and tissue-specific geranylgeranylated γ subunits of guanine-nucleotide-binding proteins in various tissues" European Journal of Biochemistry. 210. 1061-1069 (1992)
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[Publications] 浅野 富子: "神経組織におけるG蛋白質の局在" 神経研究の進歩. 36. 454-465 (1992)