1992 Fiscal Year Annual Research Report
放射線や活性酸素による遺伝子発現の誘導とその生物学的意義に関する研究
Project/Area Number |
04680210
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米井 脩治 京都大学, 理学部, 助教授 (60093340)
|
Keywords | 活性酸素 / ストレス誘導性遺伝子 / soi / 融合遺伝子 / マキシセル法 / ドットハイブリダイゼーション / ヌクレオチド配列 / 酸素ストレス |
Research Abstract |
Mud(Ap、lac)ファージ感染菌からスーパーオキサイドで誘導される融合遺伝子(soi-lacZと名付けた)を持つ8種類の変異株を分離した。これらの遺伝子は、マッピングされた大腸菌遺伝子地図上での位置からこれまでに未発見の遺伝子であることが分かった。しかも、これらの変異株はいずれもスーパーオキサイド増産剤であるメナジオンやメチルビオロゲンに高感受性であるので、酸化的ストレスに対する新しい防護酵素の発見につながる可能性が高い。そこで、まずこれらの遺伝子のクローニングを行った。第一段階で、これらの融合遺伝子をMuから溶原化したλファージ中に転換させた。これによって、λファージはマイトマイシンCによって容易に誘導される。このファージ粒子からDNAを抽出すれば、その中にsoi-lacZが含まれている。このDNAを標識してプローブDNAを作製した。このプローブDNAとハイブリドを形成しうる配列を、クラーク・カーボン遺伝子バンクから検索し、soi10および12遺伝子は、pLC8-9に存在することが分かった。さらに、種々の制限酵素でpLC8-9を切断、サザーンハイブリダイゼーションを行ったところ、soi10/12遺伝子はそのEcoRV2.5KbのDNAフラグメントに存在することが確かになった。この2.5Kbフラグメントを持つプラスミドの産生タンパクをマキシセル法で調ベた。soi10/12遺伝子産物は約32KDaのタンパクであった。さらに、このプラスミドをsoi10/12-lacZ変異株に導入すると、変異株のメナジオン高感受性は相補された。この事実は、2.5Kbフラグメントには明らかにsoi10/12遺伝子が含まれていることを示している。この2.5Kbのデリーションセットを作製して個々のヌクレオチド配列をダイデオキシ法で決定した。2.5Kbフラグメントには32KDaのタンパクをコードするORFが含まれていた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 米井 脩治: "活性酸素誘導性遺伝子" 放射線抵抗性の誘導-放射線障害の生物学的・化学的防護 実業公報社(東京). 23. 32-40 (1992)
-
[Publications] Zhang,Q.-M.,S.Yonei and M.Kato: "Multiple Pathways for Repair of Oxidative Damage Induced by Ionizing Radiation and Hydrogen Peroxide in Escherichia coli" Radiation Research. 132. 334-338 (1992)
-
[Publications] Izumi,T.,K.Ishizaki,M.Ikenaga and S.Yonei: "A Mutant Endonuclease IV of Escherichia coli Loses the Abi-lity to Repair Lethal DNA Damage Induced by Hydrogen Peroxide but Not That Induced by Methyl Methanesulfonate" Journal of Bacteriology. 174. 7711-7716 (1992)
-
[Publications] 米井 脩治、張 秋梅: "活性酸素による遺伝子発現" 凍結及び乾燥研究会会誌. (1993)
-
[Publications] Mito,S.,Q.-M.Zhang and S.Yonei: "Isolation and Characterization of Escherichia coli Strains Containing New Gene Fusions (soi::lacZ) Inducible by Super oxide Radicals" Journal of Bacteriology. (1993)