1993 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギースペクトルが直読可能な2重計数管方式中性子スペクトロメーターの研究開発
Project/Area Number |
04680228
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青山 隆彦 名古屋大学, 医療技術短期大学, 助教授 (80023307)
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Keywords | 中性子計測法 / 中性子スペクトロメーター / 反跳陽子計数管 / 中性子捕獲計数管 / 遅延同時計数法 / 全エネルギー吸収 / エネルギー応答関数 / モンテカルロ計算 |
Research Abstract |
およそ10KeVから1MeVの中性子エネルギー範囲に亙って、アンフォールディングの必要がなく、パルス波高分布から中性子エネルギースペクトルを直読することが可能な、2重計数管方式全エネルギー吸収型中性子スペクトロメーターの研究開発を実施した。 1.前年度製作した中性子スペクトロメーターに対する単色中性子の予備照射実験で問題となった、共存γ線の影響によるパルス波高分布の歪を除去するため、プロパン反跳陽子計数管から得られるリニア信号を、遅延増幅器(本年度購入)を通して波形弁別信号に同期させ、リニアゲートを用いて波高分析信号に含まれるγ線成分の大半を除去するよう改良を施した。 2.スペクトロメーターを電子技術総合研究所の標準中性子場中に持ち込み、80から600KeVの種々のエネルギーの単色中性子を照射してパルス波高分布を測定した。その結果、各中性子エネルギーで、分解能は劣るものの波高分布に中性子の全エネルギー吸収に対応した単一ピークが得られることが確認され、これより、ピーク波高値と中性子エネルギーとの対応関係(エネルギー校正曲線)を求めた。検出効率は、波高分布に含まれるバックグラウンド成分の評価ができないため精度良く測定することはできなかったが、モンテカルロ計算結果と同程度(10^<-5>程度)の値が得られ、モンテカルロ計算の信頼性を確認した。 3.実験から求めたエネルギー校正曲線、並びに、検出効率のエネルギー依存性のモンテカルロ計算結果を用いることにより、測定したパルス波高分布から中性子の大略のエネルギースペクトルを直読することが可能なシステムを構築できた。
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