超ウラン元素の消滅処理に関連した中性子核データの研究

1992 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04680234
• Research Institution: Kinki University
• Principal Investigator: 大澤 孝明 近畿大学, 原子力研究所, 助教授 (10038028)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 橋本 憲吾 近畿大学, 原子力研究所, 助手 (70218410)
• Keywords: 超ウラン元素 / 消滅処理 / 核データ / 中性子 / 核分裂

Research Abstract

超ウラン核種の消滅処理の定量的検討の基礎となる中性子核データの評価・検証を行うため、核反応理論モデルの改良とそれに基づく計算コードの開発、および重要核種の核データの評価計算を進めた。今年度は、核分裂中性子スペクトルの計算モデルの精密化という課題を中心に研究を進めた。主な成果は次の通りである。
(1)筆者が提案した「非等温モデル」において、従来は準位密度パラメータをa=A/C(C=8〜11)というグローバルな系統式で与えていたが、核分裂片には中性子数50,82、陽子数50のshellの効果が顕著に現れていることを考慮して、軽・重分裂片の各々に対して別個の値が与えられるようにプログラムを変更した。
(2)入力に必要な準位密度パラメータは、shell効果を考慮に入れたIgnatyukモデルによる計算値を採用することとし、このモデルに基づき準位密度を計算するコードを作成した。
(3)高次核分裂が可能なエネルギー領域における核分裂中性子スペクトルを計算するために、核分裂断面積を1次〜4次核分裂までの成分に分解するための方法を考案し、計算コードを作成した。これを U-235、Pu-239に適用してほぼ良好な結果を与えることを確認した。
(4)上の結果を用いて、U-235、Pu-239に対する入射中性子エネルギ-0,0.1,0.2,0.5,1.0,2.0,5.0,10.0,14.0,20.0MeVにおける核分裂中性子スペクトルを計算した。結果をENDF/Bフォーマットにまとめた。現在JENDL-3に収納されている核分裂中性子スペクトルは、高次核分裂を考慮せずに計算したものであるため、約6MeV以上の入射エネルギーに対する中性子スペクトルが異常に硬くなっていることが明らかになった。