1992 Fiscal Year Annual Research Report
ピンホールコリメーターを用いた超高解像力単光子放射型断層像装置の開発
Project/Area Number |
04680235
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Research Institution | Kyoto College of Medical Technology |
Principal Investigator |
向井 孝夫 京都医療技術短期大学, 診療放射線技術学科, 教授 (40093322)
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Keywords | ピンホールコリメーター / SPECT / ガンマカメラ / 放射性化合物 |
Research Abstract |
従来のSPECT装置の解像力は8〜20mm程度であり、標識化合物の微細な生体内分布は検出できない。 人体、犬、などの比較的大きな動物が対象の場合はその程度でよいが、マウス、ラットの小動物では使用できず、特に1cm程度の脳を分解することは無理である。 今日、種々のRI標識物質の開発においては小動物を用いるため、解像力2mm以下のSPECT装置が必要となってくる。そのためにはガンマカメラにピンホール型のコリメーターを用いる以外に方法はないと考え、試作機の製作を試みた。 まずピンホールコリメータによるSPECT再構成と画像表示の計算機プログラムを作成し、孔径、回転半径など種々の条件下におけるコンピュータシミュレーション実験を行い、それぞれの感度、分解能を推定した。 次いで、既設の検出器固定型のガンマカメラに簡易型の実験用ピンホールコリメータを着け、Tc-99mの線線源を用いて手動のスキャニング(回転)による予備実験を行った。 これよりほぼシミュレーションと同等の結果(孔径1mm,回転中心ーピンホール5cmでの分解能:2mm)を得た。 またラットにTc-99m標識の脳血流製剤を投与して、脳血流像を撮像し、鮮明な断層像を得た。 問題点としては、実際の小動物実験では投与できる標識化合物の放射能量の制限から、感度が少し低くく、解像力を犠牲にしても孔径を現在の1mmより大きくしなければならないかも知れない。いずれにしても、今後SPECT専用機にこのようなピンホールコリメータを装着すれば、完全に実用できるものと思われる。 そして解像力2mm程度のSPECT装置が開発できれば、新しい放射性化合物、特に、脳の血流、エネルギー代謝や神経伝達物質、およびその受容体に関するトレーサーの開発に寄与できるものと考える。
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