1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680241
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 潤 名古屋大学, 文学部, 教授 (70080265)
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Keywords | 中国 / 自由市場 / 生鮮食料品市場 |
Research Abstract |
今年度は、主として中国の省別統計年鑑類を資料として、自由市場の経年的変化、及びその地域的差異について検討した。 経年的変化については、改革開放政策が採られた直後の1980年以降、1990年までの動向を分析した。自由市場の総数は、この間に4万余から7万余へと一貫して増加しつづけているが、農村部での増加は86年以降ペースが落ちており、近年の増加は都市部での人口増加に対応したものである。売上高は、この間に全体で9倍強に増大したが、その増加率は、農村部においてよりは、都市部において著しい。その結果、都市部の市場の1市場当り売上高は、農村部の市場のそれの約3倍に達するに至った。全小売販売額に対する自由市場売上高の割合は、この間、一貫して上昇しつづけており、自由市場の地位の上昇が明らかである。ただし、売上高の商品別構成の検討から、穀物・食用油、農業用資材、及び家畜の割合が、一貫して低下し、肉・卵、水産物、蔬菜、及び果物の割合が、一貫して上昇しており、自由市場が、生鮮食料品市場の性格を強めつつあることがわかった。 地域的差異については、資料が最も整っている1988年について分析した。まず、当然のことながら、都市化の進んだ地域においては、都市部立地の自由市場の割合が高く、都市部での売上高の割合が高い。これに対し、1市場当り売上高は、都市部についても、農村部についても、経済発展の程度(一人当り所得の高さ)と相関している。また全小売販売額に対する自由市場売上高の割合は、伝統的に集市が盛んで、近年の市場経済化も進んでいる華中・華南の諸省で高い。さらに、北と南、沿海と内陸、都市と農村と言った地域差が、売上高の商品別構成の地域差に反映していることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ishihara,Hiroshi: "Free Markets in China" Papers Submitted to the Meeting of the Commission on the Geography of Commercial Activities,I.G.U.1-13 (1993)
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[Publications] 石原 潤: "『中国集市大観』に見る中国の自由市場" 名古屋大学文学部研究論集. 119. 65-96 (1994)