1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680251
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
高橋 伸幸 北海学園大学, 教養部, 助教授 (20202153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 謙 北海学園大学, 教養部, 教授 (70128817)
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Keywords | 大雪山 / 周氷河環境 / 周氷河現象 / 永久凍土 / パルサ / 高山帯 |
Research Abstract |
平成4年度は、気温.地温測定および日射量測定のための観測機器設置と土砂移動観察のための実験斜面設置、さらにパルサ湿原(永久凍土地域)での予備的植生調査を主に行なった。現在、これらの観測は継続中であるが、平成4年度に若干のデータが得られた。 平成4年5月以降、大雪山中央部の高山帯(標高1700m以上)の3地点(白雲岳山頂、高根ヶ原、忠別前岳)に温度自動記録計を設置し、気温観測を開始した。秋にデータを回収した結果、白雲岳山頂や忠別前岳において、永久凍土の存在する高根ヶ原よりも低い値の気温が測定された。最暖月である8月の月平均気温は、白雲岳山頂で9.6℃、高根ヶ原で12.1℃、忠別前岳で11.3℃であった。この結果から、少くとも温度条件の面では、これまで知られていたよりもさらに広い範囲での永久凍土分布が示唆された。また、気温観測を行なっている同3地点において夏期間(6月〜9月)の日射量を測定した。その結果、積算日射量はどの地点でもほぼ同様の値を示したが、7月までの前半は高根ヶ原や忠別前岳でやや高めの値が得られ、7月下旬以降の後半には白雲岳山頂のみでやや高めの値が得られた。このことから、雲や霧の発生する場所が数Kmの範囲内で季節的に若干異なり、この差異が凍土の融解量や永久凍土の分布に微妙な影響を与えていることが推定される。 7月下旬にパルサ湿原において、100m前後のラインを2本設け、植生調査と地形断面測量を行なった。詳細な植生状況や永久凍土と植生との関係については、平成5年度以降に持ち越されたが、植生と地形との大まかな対応関係は明らかになった。
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