1992 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム突然変異体集団淘汰法による塩基配列空間上の生体高分子機能曲面の形状の研究
Project/Area Number |
04680266
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
伏見 譲 埼玉大学, 工学部, 教授 (80011641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 美穂 埼玉大学, 工学部, 助手 (60222064)
西垣 功一 埼玉大学, 工学部, 助教授 (10107378)
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Keywords | 配列空間 / 適応度の地形 / 進化分子工学 / 分子進化 / ファージ連続培養 / 無細胞翻訳系 / ランダム突然変異 / セルスタット |
Research Abstract |
生体高分子は、ダーウィンの自然淘汰の原理によって自己の機能を漸進的に最適化させ得るような物性を持つと予想される、いいかえると、生体高分子の機能を塩基配列空間上にプロットした場合、その曲面の形状が富士山型に近いものが多いと予想される。本研究の目的は、進化分子工学の手法を用いて、すなわち、莫大な種類のランダム点突然変異体から成る特定遺伝子の集団を淘汰させるという手法を用いて、この予想をチェックする事にあった。最終的な結論までには至らなかったが、次のような要素技術の開発と理論整備が行われた。 1。進化分子工学に適したランダム突然変異導入法を開発した。本方法は塩基置換領域の限定性、ランダム性、変異率の制御可能性に優れている。これを用いて、バクテリオファージFfの主コート蛋白のみに大きな突然変異率でin vitroランダム突然変異をかけたファージ集団を作成した。 2。セルスタットにおける、突然変異体集団の淘汰のモードが、初期の淘汰係数の分布に敏感であるという理論を整備した。特に、isopopulation pointの存在がウイルスライフサイクルの単純化モデルで証明できた。ランダム突然変異導入の場合、この初期分布は、適応度の地形の知見を与える。 3。バクテリオファージM13mp11を作業レプリコンとする人為淘汰型進化リアクターの再開発を進めた。従来、βガラクトシダーゼのフルオロジェニックな基質は、細胞外に漏れやすいという重大な欠点があった。今回、親水性のフルオレセイン誘導体で漏れにくいものを発見した。 4。進化分子工学におけるウイルス型戦略の一つとして、無細胞翻訳系の応用を検討した。すなわち、mRNAの3'末端に合成された蛋白分子のC末端を結合する方法の開発にめどがついた。
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[Publications] Sakurai,T.: "Real-Time Moniforing of DNA Polymerase Reactions by a Micro ISFET pH Sensor" Analytical Chemistry. 64. 1996-1997 (1992)
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[Publications] 伏見 譲: "進化分子工学による超分子の適応設計" 蛋白質核酸酵素・増刊「生体超分子システム」. (1993)
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[Publications] 伏見 譲: "進化とエントロピー" 別冊数理科学「エントロピー」. 98-104 (1992)
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[Publications] Hartman,H.: "The Origin and Evolution of Prokaryotic and Eukaryotic Cells" World Sci.Pub.Co., (1993)