1992 Fiscal Year Annual Research Report
S-S結合導入による光駆動H^+ポンプの動的構造変化の解析
Project/Area Number |
04680268
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 康雄 名古屋大学, 理学部, 助手 (70154507)
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Keywords | 高度好塩菌 / レチナールタンパク / 光駆動H^+ポンプ / アーキロドプシン / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
本研究では、高度好塩性古細菌ハロバクテリアの細胞膜にある光駆動性H^+ポンプのエネルギー論的分子機構を明らかにする一環として、7本の膜貫通α-ヘリックスをつなぐループ領域にS-S結合を導入して構造を固定するとH^+ポンプの活性と物性はどのような影響をうけるかを調べる。その前段階として、2種類のH^+ポンプ、アーキロドプシン-1と2(aR-1、aR-2)から、種々のキメラタンパクを作製し、アミノ酸置換が色素形成(レチナールポケット形成)と光駆動H^+ポンプ活性に及ぼす影響を調べた。キメラタンパクはaR-1とaR-2遺伝子内の制限酵素部位を利用して遺伝子組換えを行い、aR-1のヘリックスE、EとF、及び、E、FとGをaR-2の対応する領域と置き換えたaR1/2E、aR1/2FGとaR1/2EFGを作製し、それぞれの遺伝子を大腸菌で発現させた。膜画分から調製した発現タンパクをリン脂質と界面活性剤の混合ミセルとし、in vitroでレチナールを添加して色素形成過程を調べた。コントロールのaR-1アポタンパクはレチナール添加に伴い、中間体を経て、560mnに吸収極大をもつ色素に変換した。中間体から560nm色素への変換過程が律速であり、t1/2は7分であった。一方、キメラaR1/2E、aR1/2FG、aR1/2EFGではt1/2は、それぞれ、50、30、6分であった。タンパク当りの色素形成量は、aR-1アポタンパクではタンパク濃度に依存しなかったが、キメラタンパクでは、リン脂質とタンパクの量比が重要であることが解った。現在までに得られた知見から、一度に数アミノ酸残基を置換すると構造形成に影響を及ぼす可能性のあることが考えられる。現在、ヘリックスBとCを結ぶループ領域にS-S結合を導入したタンパクの遺伝子、また、ヘリックスCとGを固定するS-S結合を導入したタンパクの遺伝子を作製中であり、目的の変異導入が構造形成に及ぼす影響を明かにする予定である。
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