1993 Fiscal Year Annual Research Report
S-S結合導入による光駆動H^+ポンプの動的構造変化の解析
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04680268
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 康雄 名古屋大学, 理学部, 講師 (70154507)
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Keywords | 高度好塩菌 / レチナールタンパク / 光駆動プロトンポンプ / アーキロドプシン / 変異アーキロドプシン / キメラアーキロドプシン / 光化学中間体 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
本研究では,高度好塩菌ハロバクテリアの細胞膜にある光駆動プロトンポンプのエネルギー論的分子機構を明らかにする一環として,7本の膜貫通α-ヘリックスをつなぐループ領域にS-S結合を導入したプロトンポンプの構造安定性と機能を調べることを目的とした。S-S結合導入によってポンプタンパクの構造形成が損なわれることのない領域を探すため,2種類のプロトンポンプ,アーキロドプシン-1の2(aR-1とaR-2)から個々のヘリックス領域(ヘリックスE,F,EとF)を置き換えた種々のキメラaRタンパク,および,ループ領域に数アミノ酸残基の挿入あるいは欠失を与えた変異aRタンパク質を遺伝子工学で作成した(大腸菌で発現)。膜貫通α-ヘリックス領域を置き換えたキメラタンパクは野性型と同様の速度でクロモフォアを形成したが,ループ領域に挿入あるいは欠失を与えると,クロモフォア形成速度とその収率が低下した(in vitroで作成したaR色素類)。光化学中間体(M,N,O)の寿命はキメラaR色素ごとに異なり,M中間体の寿命が短くなるもの,N中間体の寿命が長くなるものが作成できた。一方,ループ領域に挿入を与えた変異aR色素では,みかけ上O中間体がN中間体より先に現われ,さらにN中間体の寿命が非常に延びた(20℃で数秒)。他方,欠失変異aR色素ではM中間体の寿命が長くなった。いずれの変異色素も光に対して不安定であった。ヘリックスFとGをつなぐループ領域に2個のCys残基を導入した変異タンパクは野性型と同様の速度でクロモフォアを形成した。また,ヘリックスBとGをつなぐループ領域に2個のCys残基を導入した変異バクテリオロドプシンを好塩菌で発現させた。現在までの測定条件では,その光反応に野性型との違いは見い出されていない。これはS-S結合の形成程度が低いことによるのかもしれない。現在検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sugiyama,Y.: "Archae-opsin expressed in Escheichia coli and its conversion to purple pigment in vitro." J.Biochemistry. 115(in press). (1994)
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[Publications] Sugiyama,Y.: "Proteins of ligh energy and signal transduction." Tanpakushitu,Kakusan and Koso.39(in press). (1994)