1992 Fiscal Year Annual Research Report
リゾチーム1-,2-,3-SS体コレクションの作製と構造・機能解析
Project/Area Number |
04680271
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橘 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (70126118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬川 新一 関西学院大学, 理学部, 教授 (70103132)
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Keywords | リゾチーム / 蛋白質工学 / ジスルフィド結合 / 再生 |
Research Abstract |
ニワトリリゾチームの全部で8個のシステイン残基を色々の組み合わせでセリン残基に置換した2SS体6種、ならびに1SS体4種、併せて10種の遺伝子を合成した。発現は我々が以前開発した直接発現ベクターを用いて大腸菌内で行った。その結果2SS体としては、#1+2(SS結合の#1と#2とが存在し得るの意)、#3+4,#1+3,#1+4,#2+3,#2+4、また1SS体については#1,#2,#3,#4を蛋白質分子として得る事ができた。それぞれの収量には約5倍の開きがあった。3SS体のうち、△2と△4についてはシステイン残基をアラニン残基に置換した改変体も作製した。これらのうち3SS体4種について数10mgスケールでの大量精製を行った。発現物はいわゆる封入体中に得られ、2段階のカラムクロマトグラフィにより単一のポリペプチドに精製できた。還元および酸化型グルタチオンならびにグリセロール存在下、低温条件にてそれらの再生を行い、再生物の溶菌活性や逆相HPLC溶出プロフィルによって再生効率を検討した所、これらの再生反応はグリセロール濃度に依存した至適温度を持つ事、そしてその至適温度は円二色性の温度依存から知られる蛋白のネイティヴ立体構造の物理的安定性と一定の関係にある事がわかった。一方、3SS体のひとつ△4は天然リゾチームより溶菌活性が高いという特性を持っているが、その活性の温度依存性を調べた所、天然型に比べて至適温度が低下するとともに低温側での活性が相対的に高くなっている事がわかった。また、円二色性測定により3SS体4種の熱力学的安定性を比較した所、△4〜△3>△2>△1の順に高く、SS架橋のループサイズからの予想通りであったが、熱変性転移温度の天然体との差の絶対値はループ・エントロピーの効果のみでは説明できないという結果が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sawano,H.: "Efficient in vitro folding of the three-disulfide derivatives of hen lysozyme in the presence of glycerol." FEBS Letters. 303. 11-14 (1992)
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[Publications] 河本 恭子: "リゾチーム3SS体の再生とグリセロールの効果" 生物物理. 32. S44- (1992)
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[Publications] 橘 秀樹: "リゾチーム3SS体の構造安定性" 生物物理. 32. S44- (1992)
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[Publications] 澤野 博志: "リゾチーム3SS体△4(Cys76,94→Ser)の酵素活性" 生物物理. 32. S44- (1992)