1993 Fiscal Year Annual Research Report
信号受容・調節モデルシステムの構築とそれを利用した光信号受容系の研究
Project/Area Number |
04680272
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Research Institution | Himeji Institute of Technology(HIT) |
Principal Investigator |
岩佐 達郎 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (00133926)
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Keywords | G蛋白質 / ロドプシン / 光 / モデルシステム / 情報伝達 / 視覚 / 信号受容 / 無脊椎動物 |
Research Abstract |
1)タコの眼のG蛋白質遺伝子のクローニング タコの眼から全RNAを抽出し、cDNAを合成して、PCRを行った結果、脊椎動物のGi,Go,Gsクラスに対応する遺伝子断片を得ることに成功したことは昨年度に報告した。しかし、ショウジョウバエやイカにおいて光情報伝達に関与すると示唆されているGqクラスの遺伝子が得られなかった。そこで、本年度はタコ視細胞においてGqクラスのG蛋白質が発現しているのかを調べた。PCRで得られた遺伝子断片のクローニング方法を改良し、今まで得られた遺伝子断片と異なるものを検索した結果、その中からGqクラスの遺伝子断片を得ることに成功した。しかし、脊椎動物で光情報伝達に関与しているトランスジューシンに対応するG蛋白質遺伝子は得られなかった。この結果、タコの眼では4種類のG蛋白質が発現していることが明らかになった。現在、これらG蛋白質遺伝子の全長のクローニング、及び、発現の局在について検討を進めている。 2)タコ・ロドプシン(Rh)の昆虫培養細胞による発現 タコ・Rh遺伝子を組み込んだヴァキュロビールスを用いて、昆虫培養細胞でRhを発現させることを試み、オプシン蛋白質を作らせることに成功した。現在の発現量は抗体での発色量から求めると1Lの培養液当たり1mg程度である。次のステップとしてレチナールを加えての再構成を試みている。昆虫培養細胞を用いた発現システムを構築できたことは今後研究を進めていく上で重要な進展である。 3)FTIRによるタコ・Rhの光受容に伴う構造変化の研究(東大:田隅研との共同研究) タコ・マイクロビライ膜を試料として光照射後のシグナルを測定したところ、可視域の光吸収測定ではメタ中間体と同じであるが、振動スペクトルの異なる中間体が存在することを示唆する結果が得られた。タコの光情報伝達系でG蛋白質を活性化させる中間体が何かと言うことについては結論がでていない。今後、紫外部の吸収測定とあわせて検討する必要がある。
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[Publications] Kikkawa,S.et al.: "GTP-binding protein couples with metabotropic glutamate receptor in bovine retinal on-bipolar cell" Biochem.Biophys.Res.Commun.195. 374-379 (1993)
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[Publications] Masuda,S.et al.: "Infrared studies of octpus rhodopsin.Existence of a long-lived intermediate and the state of the carbox" FEBS Letters. 317. 223-227 (1993)
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[Publications] Masuda,S.et al.: "Infrared studies of octpus rhodopsin and lumi-rhodopsin" Journal of Molecular Structure. 297. 29-34 (1993)
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[Publications] Tsuda,M.Iwasa,t.and Nakagawa,M.26HB01:Elsevier Science Publisher B.V.27HC01:Frontiers of Photobiology (“Regulation of signal coupling proteins inoctopus Photoreceptors"): 6(184-189) (1993)
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[Publications] 岩佐,達郎、中川,将司、津田,基之: "“ロドプシン"生物薬料実験講座「受容体」(瀬川富朗編)" 廣川書店,(印刷中),