1993 Fiscal Year Annual Research Report
発音の修得度が音声の音響パラメータおよび呼気流速パターンに及ぼす影響
Project/Area Number |
04680294
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Research Institution | Tsukuba College of Technology |
Principal Investigator |
青山 彦聖 筑波技術短期大学, 助教授 (90017426)
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Keywords | 発音の修得度 / 音響パラメータ / 呼気流速パターン |
Research Abstract |
発音の修得度が異なる5人の被験者の破裂音発音時の呼気流速パターンおよび音声波の検討を行った。発音の修得度は、破裂音に関しては調音位置、母音に関してはフォルマントで述べることが出来る。呼気流速パターンの最大の呼気流速、それが得られる空間位置および時刻は破裂音を特徴付ける調音位置に依存することは、平成元年度〜2年度の科学研究補助金の基での研究でわかっている。各々の被験者の発音した音声から推測される調音誤りと、その時の呼気流速から推測される調音誤りはほぼ一致した。音声波に関する今までの検討結果よりわかったことは、変相関の最大値、音源振幅、ケプストラム距離、サウンドスペクトログラム、LSP係数が発音の修得度によって異なることである。母音の修得度はサウンドスペクトログラムのフォルマントバー、およびLSP係数の安定度と関係があり、修得度が低いほど安定度が低下し、揺らぎが見られる。破裂音が明確に発音されると、破裂音から母音への渡り部辺りにケプストラム距離に鋭い三角パルスが見られ、そしてサウンドスペクトログラムのフォルマントバー明確になるまでの時間、すなわち渡り部の時間が長くなる傾向が見られる。破裂音が不正確に発音されると変相関の最大値、LSP係数および音源振幅の変化分が健聴者のそれよりも小さくなる傾向が見られる。しかし変相関の最大値、音源振幅、ケプストラム距離等の音声の分析には多大の計算を必要とするので、それらと発音の修得度の定量的な検討は現在まで30%程度で、今後まだかなりの時間を必要とする。
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