1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680306
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天岩 靜子 信州大学, 教育学部, 助教授 (60060688)
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Keywords | 概算 / 計算方略 / 筆算 / 暗算 / 小学生 |
Research Abstract |
小学生の概算の理解に関して、下記の点が明らかになった。 1.概算テストとして2種類のものを実施した。3つ以上の数の加減算や乗算をして、答えがどのくらいになるかを3つの中から選択する課題--「概算の範囲」と、多桁減算をした結果答えの一番左の数字(一番大きな桁の数字)はいくつであるかを書く課題--「概算の左の数」である。「概算の範囲」に影響する計算能力について分析した結果、3年・4年ともに暗算と1桁加算能力が大きく関係し、この傾向は3年の「概算の左の数」にもあてはまった。しかし4年では「概算の左の数」に大きく関係するのは文章題を解く力で、次いで暗算や1桁加算、3桁減算が同程度に関連性をもち、異なる傾向が現れた。 2.実際の買い物場面での概算のやり方を調べた結果、次の3つの計算方略のあることが示された。(1)頭の中で1の位まで細かく計算をする方略、(2)最初は1の位まで計算するが、途中で「だいたいの数」としておおざっぱにとらえる方略、(3)買った品物のそれぞれの価格の数字を丸めてから足しあわせる方略、である。(1)の方略は4年に多く、(2)の方略は3年に多くみられた。これは4年の方が計算能力が高いので、なんとか正確に計算できるためで、3年は正確に計算しようとはするが途中で分からなくなって「だいたい400円」などと答えたのである。(3)の方略は4年に多く見られ、四捨五入の知識の獲得がこの方略の採用につながったと考えられる。概算の方略を学んだことがなくても、日常生活場面では自分で工夫し、だいたいの金額を出せることが明らかになった。 3.ビデオで子どもが誤りをする買物場面を見て、なぜ誤りをしたのかを考えさせたり、難易度の高い概算テストを実施して、自分の示した誤りについて思考過程をたどり誤りを修正させる経験を与えた群は、このような経験をしなかった群に比べて、概算テストの得点が上昇することが示された。
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