1992 Fiscal Year Annual Research Report
小学校体育科におけるカリキュラム編成に関する基礎的研究-走り高跳び学習の適時期について-
Project/Area Number |
04680310
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
後藤 幸弘 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (00047391)
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Keywords | 走り高跳び / 男女児童 / 適時期 / 学習効果の学年差 / HJS指数 / 踏み切り技術 / クリアランス技術 / 認識の変容 |
Research Abstract |
走り高跳びの記録は単元前・後ともに高学年ほど高値を示した。また、4,6年生は単元前半で、5年生は単元後半で有意な伸びを示し、記録の向上に必要な時間は学年によって異なった。HJS指数〔(記録-1/2身長)/垂直跳びの記録X100〕が80点以上を示した者の割合は、単元終了時に4年生;36.4%,5年生;41.4%,6年生;43.7%を示し、60点以下の者は6年生では僅か11.9%であるのに対し4年生では29.9%存在した。踏切技術は、6年生にのみ13時間で有意な向上が認められ、クリアランス技術は授業経過に伴って全ての学年において有意に向上し、単元前にみられた6年生と4,5年生の間の学年差は認められなくなった。学習による記録の伸びに対する踏切技術とクリアランス技術の関与率を算出すると、4,5年生ではクリアランス技術がそれぞれ91.8%,66.7%関与し、6年生では踏切技術が60%以上関与していることが認められた。4年生では走り高跳びに対するイメージを好意的に変容させることができなかったが、5年生では「必要性」を除き向上させることができた。また、6年生では多くの項目で単元中間で一旦低下するが、単元終了時には単元前の値に回復し、「上達法」は授業経過に伴って向上させ得ることが認められた。すなわち、記録及び総体的技術の伸びからは学年差は認められず適時期を判定することは困難であった。しかし、クリアランス技術は全ての学年で有意な伸びがみられたのに対し踏切技術は6年生にのみ有意な向上が認められた。さらに、HJS指数でみた運動課題の達成率から高学年ほど技能特性に触れている児童が多く、また、認識面においても4年生よりも5,6年生で走り高跳びに対するイメージの改善されることが認められた。以上のことから、走り高跳びの技能特性を「助走の勢いを生かして高く跳ぶこと」と把えるならば、6年生に学習の適時期があると考えられた。
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[Publications] 後藤 幸弘 他: "児童期における走り高跳び学習の適時期に関する研究 -記録、ならびに技能の伸びの学年差を中心として-" 日本バイオメカニクス学会第11回大会論集. 422-427 (1992)
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[Publications] 後藤 幸弘 他: "走り高跳びの筋電図的分析 -背面跳びとはさみ跳びの比較を中心として-" 日本バイオメカニクス学会第11回大会論集. 504-510 (1992)