1992 Fiscal Year Annual Research Report
マルチバイオフィードバック法による随意運動障害の自己制御
Project/Area Number |
04801015
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
冨永 良喜 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50164033)
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Keywords | バイオフィードバック / 脳性マヒ / 姿勢制御 / 情報処理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マルチバイオフィードバック法によりヒトの姿勢制御のメカニズムを解明することであった。脳性マヒ児は、様々な身体部位の姿勢の歪みを呈している。複数の生体情報をヒトにフィードバックするマルチバイオフィードバック法によって以下の3点を検討した。 1.精神発達と複数情報の処理能力に関する実験 (1)被験児:精神発達が2歳から12歳までの脳性マヒ児20名。 (2)方法:マルチバイオフィードバックシステムにより、複数の情報フィードバック条件と単一のフィードバック条件とフィードバックをしない3条件をランダムな順序で各被験児に実施した。 (3)結果:精神発達4歳以上の脳性マヒ児は、複数の情報フィードバック条件ではフィードバックなし条件に比べて、望ましい姿勢変容を示した。 (4)考察:精神発達4歳以上であれば、複数の情報を処理し姿勢調節が可能であるが、精神発達2歳では、単一のフィードバック処理しか困難なことがわかった。 2.姿勢緊張の度合と情報処理過程に関する実験 (1)被験児:脳性マヒ児10名。精神発達が4歳以上の脳性マヒ児20名。 (2)方法:1.と同様。 (3)結果:膝の屈曲の強い脳性マヒ児は、単一フィードバック条件で、手に多くの力を入れ代償する傾向が見いだされた。 (4)考察:自体操作と対象操作の視点から、本結果が考察された。 3.学習効率の高いフィードバック様式の検討に関する実験: (1)被験児:知的発達が健常な脳性マヒ児1名。 (2)方法:マルチバイオフィードバックシステムにて、膝を他動的に固定する条件と、固定しない条件を設定し、同時に重心を計測し、それをフィードバック情報とした。 (3)結果:膝を固定しない条件では、重心のフィードバック制御は容易であったが、より姿勢が歪む方略を用いて制御した。他方、膝を固定する条件では、重心は後方にあり、フィードバック制御は困難であったが、より望ましい姿勢変容をすることが見いだされた。 次の2点は、次年度に検討する予定である。 1)姿勢緊張のタイプと情報処理過程、2)長期的学習による日常生活への般化
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