1992 Fiscal Year Annual Research Report
学校・学級社会における中年齢女性教員のキャリア形成に関する調査研究-三重県小,中学校の場合-
Project/Area Number |
04801030
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
蓮尾 直美 三重大学, 教育学部, 助教授 (80117217)
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Keywords | 女性教員 / ジェンダー / アイデンティティ / 危機 / キャリア形成 / 学校組織 / 学級社会 / ライフコース |
Research Abstract |
本研究課題の一環としてすでに実施した(平成3年度分校費による)質問紙調査の総サンプルから、地域性、学校種別、教員の性別・年齢別等の諸属性を考慮しながら、面接調査のインフォーマントを選定し、昨平成4年6月より本年3月現在に至るまで集約的に面接調査を実施してきた。南北に長い地理的特性と交通手段の乏しい地域性など困難点を抱えながらも、概ね調査はスムーズに進めることができ、所期の目的は達せられた。 現段階で明らかになった研究成果は、日本教育社会学会44回大会(平成4年10月於岡山大学)で「中年齢女性教員のアイデンティティとキャリア形成ー三重県小・中学校教員の調査を中心としてー」と題して口頭発表を行ない、ついで別記の通り、三重大学教育実践研究指導センター紀要第13号(平成5年3月発行予定)に報告した。ここでは、女性教員は男性教員と同様に、学級社会を中心とする役割遂行から、学年運営を経て、学校経営に関わる役割遂行に至るまで、種々の教職経験を重ねながら、全般に女性教員固有の職業的社会化を遂げつつあることが明からにされた。すなわち、男性教員以上に教職生活において危機に遭遇する機会の多い女性教員は、こうした危機を一応乗り越えたと思われる中年齢後半期で、これまでの「教育実践型」や「家庭・学校両立型」から「個人充実」や「学校経営・管理型」への彼女たち自身のアイデンティティ指向変容させる傾向を示す。このことは、比較群としての男性教員の場合は基本的に「学校経営・管理型」を中心にアイデンティティ指向がなされるのに対し、女性教員では必ずしもそうでなく、自らのライフコースに照らしていかに自己充実を図ることが可能かという観点から指向する傾向が強いことを物語っている。
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