1992 Fiscal Year Annual Research Report
変わっている友人に対する児童生徒の反応に関する比較文化的研究
Project/Area Number |
04801032
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 弘純 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30036412)
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Keywords | 変わっていること / 友人の受容と拒否 / 児童生徒の発達 / 比較文化的研究 / 日本人の国民性の形成 |
Research Abstract |
1.日本・米国・中国の児童生徒を対象にして、(1)友人を「変わっている」と判断する基準は何か、(2)「変わっている」友人を「一般の」児童生徒はいかに受容し拒否するのか、(3)集団に所属する個が「変わっている」友人に、また、集団とは「変わっている」個が集団に、どのような感情を持つか、(4)これらは、認知的情動的特質の個人差とどのような関連を持つか、を調査した資料の比較文化的検討と発達的検討を通して、日本人の国民性の一側面の形成過程を明らかにし、多様な人々との調和的共存の方途を探究することを目的とした。 2.今年度は、日本と米国と中国で、1.(1)(2)(3)を調査し、中国の資料と自由記述や面接法による資料の一部を除いて整理した。 3.日米の資料の比較から、次のような結果が得られた。(1)全体的には、日米間に大きな社会的文化的相違があるにもかかわらず、類似した傾向がある、(2)日米両国とも、「変わっている」友人の特徴は、「運動が不得手な」「学業不振の」などの特徴と「意地悪な」「攻撃的な」などの特徴に2分されるが、日本の方が両者の区分が明確である、(3)「攻撃的な」友人と自己との類似性は、米国では男子が、日本では女子が高い。また、米国では、集団事態における「攻撃的な」友人の受容の程度が、日本より低い、(4)質問紙上では、日本の方が、「変わっている」友人と自己との類似性の認知・その友人の受容の程度が高い、(5)日本での面接調査によれば、発達に伴って、一般に「間違った」と考えられる行動を是認する傾向が高まると同時に、自己との類似性が高くなり、友人の受容が容易になる、(6)日本では「学業不振な」友人と、米国では「運動が不得手な」友人と自己との類似性が高く、文化の相違を反映している、(7)「変わっている」友人の受容に、母親の学歴は関係しているが、兄弟姉妹数はあまり関係していない。
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