1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04801042
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
桂華 淳祥 大谷大学, 文学部, 専任講師 (40148359)
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Keywords | 地域社会 / 中国仏教史 |
Research Abstract |
明清時代の中国社会において宗教、とりわけ仏教が宗教信抑として民衆とどのように係わっていたのか、その実態の解明を目指す基礎的作業として、まず寺院の歴史的変遷や活動、また僧尼の動向などに関する資料の検索抽出を開始した。具体的には、地方志に重点をおいて『中国地方志叢書』1・2集に収録されている「府志」「県志」を通覧し、寺院に関する記述の抽出を進め、その他の石刻資料・文集・筆記小説類等の諸文献についても逐次資料の検索を行ってきた。また中国仏寺志など寺院関係文書の解読にも着手している。ただ関係資料が相当量の及ぶため未で網羅的に蒐集するにとどまり、それらを総合的に整理・分析するには及んでいないが、この過程で次のような知見が得られ、具体的な問題点が浮かび上がってきた。 1.寺院経済に関する記事のなかに、特権として「免役」を挙げるものがある。明代に免役が特権というならば、どのような役が一般の寺院に課せられていたのか。 2.寺院活動のなかに、放生池或いは放生会の存在が多く確認され、またそこには居士の動きが目立っている。宋代に盛んであった放生が一時衰え、明末になって再び盛んになっているが、その社会的背景や役割はどのようなものであったのか。また居士の果たした役割は何であったのか。 3.寺院が行政機関と最底辺に位置する民衆との間に介在していることを示す記事が散見される。地域社会における寺院の行政上の役割は何であったのか。 これらは本研究の目標である宗教活動の実態究明の糸口になると考えており、さらに資料蒐集を進め検討を加えていきたい。
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