1992 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカル・アロイングで作製した金属微細粒合金における界面超伝導体の開発
Project/Area Number |
04804018
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野口 悟 大阪府立大学, 工学部, 助手 (70180718)
|
Keywords | メカニカル・アロイング / 界面超伝尊 / Au-Ge |
Research Abstract |
本研究の目的はメカニカル・アロイング(MA)により界面エネルギーの極度に高まった金属微細粒合金を合成し、新しい物性、特に非平衡状態における界面超伝導の開発を目指すことにあった。その具体的なアプローチとして、単独では超伝導を示さず、多層膜で超伝導を示す系として有名なAu-Ge系に着目し、これのMAを行い、粉末X線回折、電気抵抗、磁気抵抗測定を行った。以下、その結果について概要を記す。先ず、AuとのGeの粉末をモル比1:2で混合し、2700rpmの遊星型ボールミルを用いて、Ar雰囲気中でMAを行った。この際、温度上昇を防ぐため、タイマーにより10分/20分でON/OFFの切り替えを行った。また、用いた容器、ボールはメノウ製である。このようにして、それぞれ100分、350分、1140分、MAを行った試料について粉末X線回折による構造解析を行った。その結果、MA100分でGeのピーク強度が急激に減少し、Auピークの幅が広がり、d=2.21Aをはじめ数本の新たなピークが現れ、これがMA時間と共に成長することが判った。2.21AのピークはγAu_<0.6>Ge_<0.4>に対応するがそれ以外の新たなピークについては不明である。次に、MA1140分の試料について電気抵抗測定を行った。温度降下と共に抵抗が増大し、0.8Kでピークを持ち、抵抗が減少する。また、0.5Kにおいて縦磁気抵抗測定を行った結果、2kOe以下の低磁場で大きな正の磁気抵抗を示した。これらは0.8K以下で部分的な超伝導が生じたことを示唆する。以上の結果をまとめると、Au-Geのメカニカル・アロイングによって部分的な超伝導の観測に成功した。但し、これが当初の予想どおりAu-Ge界面において発現しているのか、或いは未知の超伝導相によるのか、さらに系統的な研究によりこれを解明することは、今後の課題である。
|