1993 Fiscal Year Annual Research Report
凍結-融解過程を利用した酸性雨生成反応の基礎的研究
Project/Area Number |
04804047
|
Research Institution | University of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
前田 泰昭 大阪府立大学, 工学部, 教授 (80081438)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 規訓 大阪府立大学, 工学部, 助手 (70236488)
|
Keywords | 酸性雨 / 亜硝酸 / 凍結 / イオン分離 / 酸化還元反応 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
初年度の研究成果で凍結による反応促進効果は,氷成長時に起こるイオン分離に基づいて発生する静電気力による固液界面への濃縮によるものであることが推察された。本年度はこのことをさらに明らかにするために,反応を妨害する塩を加えたときと加えていないときの凍結途中の固-液分離を行ってそれぞれに含まれるイオンの濃度を求めた。その結果,凍結を妨害する塩を加えた場合は,氷相に陰イオンが陽イオンより多く含まれており,妨害塩を加えない場合は氷相の陽イオン濃度の方が高いことがわかった。これは界面に亜硝酸イオンを濃縮するのに氷相が正になっていることが必要であると予想したとおりであった。また,凍結速度律速であることを確かめるため,つまり,氷界面の大きさに関係していないことを確かめるために単結晶の氷を作製して反応を調べることを試みた。数多くの試みの中で完全な単結晶はできなかったものの,結晶の数の少ない氷を作製することができた。その結果,反応が大きく妨害されることがわかった。また,初年度に推察したように反応場が固-液界面であるということは,結晶粒界であるということができる。 フィールド測定では,現地で霧を凍結しながらサンプリングを行うことには成功しなかったものの,得られた資料のうち数個に100mumol/L以上の亜硝酸イオンが検出された。このときのpHは3前後であり,この雨が凍結することによりpHが0.1以上低下することがわかり,実際にも凍結過程が雨の酸性化に影響を及ぼしていることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Y.Maeda: "Redox Reaction in Freezig Solution Contribution to Acid Rain" XV Mendeleev Congress on General and Applied Chemistry. 584- (1993)
-
[Publications] N.Takenaka: "Acceleration of Oxidation-Reduction Reactions in Freezing Solution" The Proceedings of the NIPR Symposium on Polar Meteorology and Glaciology. 7. 24-32 (1993)
-
[Publications] X.Hu: "Determination of Ammonium Ion in Rainwater and Fogwater by Flow Injection Analysis with Chemiluminescence Detection" Anal.Chem.65. 3489-3492 (1993)