1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04805015
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
笹島 和幸 埼玉大学, 工学部, 助教授 (80170702)
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Keywords | セラミックス / 摩耗 / 表面微細形状 / 三次元測定 / 摩耗体積 / 定量評価 / 統計処理 / 相関 |
Research Abstract |
機能部品の多様化・ハイグレード化の一つとして随所にみられるセラミックスの摺動面への応用において、評価が重要である摩耗の形態、摩耗量の定量評価を、表面の微細な形状の一部が摩耗して削り取られていく過程を追跡し、その削り取られた体積で摩耗を評価する手法として開発した。 実験は空気静圧テーブルを案内とするピンオンディスク型の高精度摩耗実験装置を開発して一定距離摩擦したセラミック試料を、高精度の表面微細形状測定装置で測定して行った。測定後の実験装置への再取り付けの際のリロケーション、ならびに繰り返される測定における同一測定位置の設定には顕微鏡を用いた治具を工夫し、さらに統計処理により相互相関関数の計算によってその位置決め誤差をも取り除き、常に同じ位置における形状の変化を追跡できるようにした。 摩耗量の評価は、試料の摺動距離とともに三次元的に測定し、形状の対応する部分の変化を体積として求めた。セラミック試料としてSi_3N_4とAl_2O_3をピンとし、SK3をディスクとしたドライの条件下で実験した結果、両者とも摺動距離の増加とともに摩耗体積は増加すること、実験の初期に急激な摩耗の進行があり、その後緩やかな摩耗が進行し、さらにまた急激な摩耗が進行すること、最後の摩耗形態において処女面の形体は失われること、Si_3N_4はAl_2O_3に比較して凹凸の先端の摩耗面が平滑であること、Al_2O_3は処女面として付与した平面研削加工の凹凸よりは若干小さいものの、ほぼ同じ大きさの摩耗面(摩耗粉の脱落)が観測され、両者の摩耗面の微細な形状に違いのあることなどがわかった。 今後、潤滑下の実験などへ発展させ、セラミックスの摩耗におけるなじみ過程の定量的な評価などの研究が期待される。
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