1992 Fiscal Year Annual Research Report
ベクトル・スカラー両ポテンシャルを用いた量子デバイスを含む場の統一的解析法の開発
Project/Area Number |
04805031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 則信 北海道大学, 工学部, 助教授 (90002055)
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Keywords | 磁気ベクトルポテンシャル / 電気ベクトルポテンシャル / スカラーポテンシャル / 空間回路網 / 境界条件 / 媒質条件 / 分極 / 集中定数等価回路 |
Research Abstract |
本年度は平成4年11月25日付で本研究課題への科学研究費補助金の交付決定がなされましたので,研究期間が十分取れませんでしたが,2年度にわたる継続課題として採択されましたことを踏まえ,次年度の研究への足固めとして,これまでの研究の結果得てきたベクトル及びスカラーポテンシャル場に対する空間回路網法を英文論文としてまとめ投稿するとともに,具体的問題に適用する際に不可欠となる境界条件と媒質条件の取扱いの検討を行った.境界条件に対しては本手法における磁気および電気ベクトルの両ポテンシャルを用いた等価回路表示の特徴が生かされて,これまで言われて来たどちらか一方のポテンシャルを用いたときの境界条件の扱いの困難さが解消され,電界磁界を直接用いた空間回路網法と同様に境界条件は見込んだインーピーダンスに対応する集中定数等価回路で容易に表すことが可能なことが確かめられた.また,媒質条件に対しても同様に集中定数等価回路で取り扱えることを確かめるとともに,量子効果を含めて電磁界とデバイス材料特性の結合の基本をなす分極の取扱いを定式化し,その分散特性の計算結果が解析解と一致することより取扱いの妥当性を確かめた.その際,本ベクトルポテンシャル空間回路網では分極ベクトルが等価電流変数に直接対応し、電界磁界に対する空間回路網法の場合におけるよりも計算式が簡単化され記憶領域や計算時間の効率化が実現できた.このことは今後の複雑なデバイス特性を扱う上で有効性をより発揮すると考えられる.上述の境界および媒質条件の取扱いはスカラー場の空間回路網表示において同様である.また,一部結果を得ている分極を波源とするより直接的取扱いを可能にするヘルツベクトルに対する空間回路網表示についても考察を進めている.なお,これらの成果の一部は3月末開催の1993年電子情報通信学会春季大会で発表する.
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