1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04805039
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
井須 尚紀 福井大学, 工学部, 助教授 (50221073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 正明 航空宇宙技術研究所, 制御部, 主任研究官
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Keywords | 動揺病 / コリオリ刺激 / 生体計測 / 皮膚電位 / 呼気炭酸ガス濃度 |
Research Abstract |
動揺病不快感の定量的評価法を開発するため、動揺病発生時の生体信号を計測した。コリオリ刺激装置(水平回転をする回転台上で被験者の身体を前後方向に振子様垂直回転する装置)を用いて水平連続回転と振子様垂直回転の2軸回転を被験者に与え、実験的に動揺病を誘起した。コリオリ刺激を20分間、あるいは被験者の受忍限度に達するまで与えて、精神性および温熱性発汗部位の皮膚電位、心拍間隔と呼吸間隔の変化と分散、血圧、呼気炭酸ガス濃度、唾液のNaおよびKイオン濃度とpHを測定した。また、このとき発生する動揺病不快感の程度を絶対判断法によって被験者に主観的な評価をさせて1分毎に測定した。健康な被験者13名を用いて75回の実験を行い、水平回転の角速度を3通り、垂直回転の振幅を2通り、周期を3通りに変化させた。 コリオリ刺激により動揺病が発生すると、温度性発汗部位で皮膚電位が脱分極し、呼気炭酸ガス濃度が顕著に低下する結果が得られた。呼吸周期に系統的変化は見られなかったが、その変動係数は有意に増大し呼吸リズムの乱れる結果が得られた。また、唾液のpHは下降し、NaおよびKイオン濃度は有意に上昇した。心拍や血圧には大きな変化は観察されなかった。なお、血中ガス分圧の測定を試みたが、動脈血酸素飽和度には変化が見られなかった。発生する動揺病の強度には大きな個人差が見られたが、額部(温熱性発汗部位)の皮膚電位の脱分極と呼気炭酸ガス濃度の低下は動揺病不快感と有意な相関を示した。 本研究では呼吸量を測定していないが、呼気炭酸ガス濃度の顕著な低下が記録され呼吸周期には大きな変化が見られないことから、動揺病発生時に代謝量が低下するものと思われる。
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