1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04805054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 健一 東京大学, 生産技術研究所・第5部, 講師 (40234041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半谷 裕彦 東京大学, 生産技術研究所・第5部, 教授 (90013193)
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Keywords | 不安定構造物 / 展開構造物 / 一般逆行列 / 大変位問題 / リンク |
Research Abstract |
不安定構造物とは、構造を形成する部材に対し、歪を生じない様な変位が主体的な構造物である。不安定構造物を構造力学の立場から理論的に扱う場合、釣合形状に到るまでに大変位を生じ、また、内力が仕事を行わないため、一般的に行われている静的な釣合状態を基準とした手法では困難な場合が多い。我々は、既にこの様な構造物に外力が作用した場合に生じる大変位移行過程を準静的に扱う理論及び解析手法を提案してきた。この理論では、特別な困難を伴わずに不安定構造物の大変位移行過程を把握することができる。しかし、実現象において生じる移行過程は、動的なものであり上述の手法の準静的な取扱いでは不充分なことも多い。 本研究では、既に開発した準静的な解析手法に対し質量や慣性力の影響を考慮した動的な理論を開発するための基礎的な研究を行うことにある。本年度は、基礎理論の構築、2次元不安定トラス構造モデルの実験と解析を行った。 実験:実験は、鋼製のリンクバーによる2次元モデルを平面内に吊るし、重力下で落下させることにより行った。節点にはテフロン樹脂を挿入し摩擦の影響を極力抑え、簡易なバランスアームを作成し、重力下でも加速度が小さくなるように外力を調整した。測定写真内にストップウォッチを写し込み時刻を記録した。結果の例を左図に示す。 解析:解析は、目下開発中の理論に基づき行った。大変位過程の微少時間に射影行列と一般逆行列の理論を応用することにより、数値積分を行わない解析手法となっている。通常の手法に比較し、各増分ステップにおいて必要とされる計算自由度数が軽減され、また、収束計算を必要としないため、数値計算上のメリットが大きい。レイノルズ数を基準として上述の実験と相似になるように各パラメータを設定した数値解析を実行した。結果を左図に示す。 解析結果と実験結果は、詳細においては違いが認められるものの全体的な傾向は一致している。時間的なオーダーもほぼ一致しており、本年度の目標である解析手法の開発と実験データの収録は達成された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 川口 健一,宮崎 賢一,半谷 裕彦,田波 徹行: "不安定構造物の動的大変位解析における高次項の導入" 構造工学における数値解析法シンポジウム論文集. 第16集. 81-86 (1992)
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[Publications] 川口 健一,那花 譲二,半谷 裕彦: "多角形の畳み込み経路の解析" 構造工学における数値解析法シンポジウム論文集. 第16集. 87-90 (1992)
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[Publications] 宮崎 賢一,川口 健一,半谷 裕彦,田波 徹行: "不安定トラスの動的大変位解析" 日本建築学会関東支部研究報告集. 85-88 (1992)
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[Publications] 宮崎 賢一,川口 健一,半谷 裕彦,田波 徹行: "不安定トラスの動的大変位解析における高次項の導入" 日本建築学会学術講演梗概集(北陸). 1625-1626 (1992)
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[Publications] 川口 健一,那花 譲二,半谷 裕彦,鈴木 悦郎: "多角形の畳み込みに関する研究(その1:定式化と解析手順)" 日本建築学会学術講演梗概集(北陸). 1741-1742 (1992)
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[Publications] 那花 譲二,川口 健一,半谷 裕彦,鈴木 悦郎: "多角形の畳み込みに関する研究(その2:解析手順と第1階段の数値解析例)" 日本建築学会学術講演梗概集(北陸). 1743-1744 (1992)