1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04805074
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大谷 朝男 群馬大学, 工学部, 教授 (10008469)
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Keywords | 無機・炭素層状複合体 / 炭素化 / イオン交換反応 / チタン酸カリウム / フェナントロリン |
Research Abstract |
試料として今年度はK_2Ti_2O_5/炭素層間化合物の合成を試みた。まず長さ数mmのK_2Ti_2O_5の針状単結晶を合成し、層間へのο-フェナントロリンの挿入条件を検討した。 K_2Ti_2O_5の陽イオン交換容量の5倍量のフェナントロリンを含む0.5mol/l水容液にK_2Ti_2O_5結晶を浸漬して40℃で交換反応を行った。所定時間浸漬後の試料を取り出し、X線回折、元素分析、SEM観察を行って反応の進行状態を追跡した。 K_2Ti_2O_5の基底面間隔は0.66nmであるが浸漬1時間後は0.78nmにまで拡大した。この際、回折線は著しく幅広くなり、(001)回折線以外は消失した。保持時間を増加していくと回折線は幅広くなりながら高角度側に若干シフトした。一方元素分析結果によれば、Kは初期段階で完全に試料中から逸脱する。しかし炭素含有量からみるとそれに対応する分のフェナントロリンが層間に挿入されていない。結局水素イオンやオキソニウムイオンの挿入が考えられる。そこで非水系の溶媒を用いて検討したが交換反応は生じなかった。一層深刻な現象は結晶が置換反応によって破壊して微粉末になってしまうことである。K_2Ti_2O_5の結晶が剛直過ぎるためで、仮に標記の複合体が調製できても粉末状態では特性評価が著しく困難になる。本目的を遂行するためには挿入時に生じる応力によって破壊しないような幾分柔軟なホストを使用せざるを得ない。そこで現在バーミキュライト単結晶を用いて実験を行っている。
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