1992 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子と無機化合物との合金化による機能性材料の創製
Project/Area Number |
04805076
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木野村 暢一 山梨大学, 工学部, 助教授 (50029732)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 伸弘 山梨大学, 工学部, 助手 (90161702)
|
Keywords | インターカレーション / 導電性高分子 / リン酸バナジウム / ピロール / アニリン |
Research Abstract |
本年度は、層間での導電性高分子の合成をピロールを中心とした分子を用いて、層状構造VOPO_4・nH_2Oをホストとして試みた。 ホストは、V_2O_5の粉末を加えたリン酸水溶液を16時間還流させることにより合成した。種々の水和状態の出発物質とし、これらと液体、アセトニトリル溶液および気相にしたピロールと反応させた。出発物質は水和状態によらず黄色であるが、ピロールとの反応により、アセトニトリル溶液を用いた場合は濃い緑色、その他の場合には黒色と変化し、Vの原子価状態が変化していることを示した。生成物の層間距離は小さな変化は認められるものの、いずれの場合もほぼ0.64nm程度であった。化学分析の結果、ホストの元素比は出発物質のそれを保ち、また電子線回折の結果ab面内の構造が保持されていることが確認された。 TG測定の結果、溶液からの生成物中に取り込まれるピロールの量は、他の合成方法によるものよりも少なく、またIRの測定からも層間に重合してインターカレートされているかどうかは判断できなかった。これに対して、黒色の生成物は加熱による重量減少も大きく、またそのIRスペクトルおよびホストのみをアルカリで溶解させた後の残留物のIRスペクトルは互いに類似し、かつ重合したピロールについて報告されているものとよく一致した。このことから、ピロールはVOPO_4・nH_2O層間に重合しながらインターカレートされたと考えられる。ホスト層間にインターカレートされたものおよびホストから分離したものにつき電気伝導度を測定したところ、いずれも半導体的挙動を示し、室温での抵抗値は数十ΚΩであった。層間における高分子は分子面が層に平行になっていると考えられる。 アニリンについても同様の合成を行ったところ、生成物の色は黒くなり、層間距離も大きく変化した。詳細については、現在検討中である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] N.Kinomura and N.Kumada: "Intercalation of Weak Lewis Bases into HTaWO_6. nH_2O" Solid State Ionics. 51. 1-5 (1992)
-
[Publications] R.Kanno,Y.Kawamoto,Y.Takeda M.Haegawa, O.Yamamoto and N.Kinomura: "Structure and Phase Transition in the Spinel System Li_<1-x>CuVO_4(0<x<0.2),with One-Dimensional Cooperative Jahn-Teller-Ordering" Solid State Chem.96. 397-407 (1992)
-
[Publications] A.Mehta,A.Navrotsky,N.Kumada and N.Kinomura: "Structural Transition in LiNbO_3 and NaNbO_3" Solid State Chem.102. 213-225 (1993)
-
[Publications] N.Kinomura,K.Onda and N.Kumada: "Intercalation of Pyridine and Picolines to WO(P_2O_7)" Phosphorus,Sulfur,Silicon and the Related Element. (1993)
-
[Publications] N.Kinomura,K.Onda and N,Kumada: "Intercalation of n-alkyldiamines to WO(P_2O_7)" Phosph.Res.Bull.2. (1993)
-
[Publications] 木野村 暢一、熊田 伸弘: "表面 遷移元素を含む層状化合物を利用した新規化合物の合成" 広信社, (1993)
-
[Publications] 熊田 伸弘、木野村 暢一: "ファインセラミックス先端技術ハイライト ソフト化学的手法による新化合物の合成" ファイセラ研究所, (1993)