1993 Fiscal Year Annual Research Report
微分動的弾性率をプローブとする高分子濃厚系の絡み合い構造緩和に関する研究
Project/Area Number |
04805090
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Research Institution | NAGAOKA UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
五十野 善信 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (30135321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 敦志 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (00236241)
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Keywords | 動的弾性率 / からみ合い / 粘弾性 / 非線形 / 緩和弾性率 / ポリブタジエン / 架橋 / ヒドロシリル化 |
Research Abstract |
リビングアニオン重合法を用い、ビニル含量が70%で、分子量分布の狭いポリブタジエンを分子量14万から72万の範囲で4試料調製した。本試料の側鎖ビニル基は塩化白金酸を触媒とするヒドロシリル化によりp-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンと定量的に反応し、隣接架橋点間に絡み合い点が7つ程度含まれるような疎い分子間架橋が導入可能であることがわかった。非架橋、疎架橋試料ともに大変形下で分子鎖配置に異方性が生じるが後者では絡み合い密度は変化しない。これら非架橋線状高分子と疎架橋高分子の1段ならびに2段大ずり変形下における絡み合い構造変化ならびに緩和を微分動的弾性率をプローブとして観測した。線形条件下では、非架橋系、疎架橋系ともに微分貯蔵弾性率は応力緩和中も一定で、自然状態における貯蔵弾性率と一致した。したがって線形条件下では絡み合い構造は自然状態における構造から変化しないことがわかった。一方、ずり歪の大きな非線形条件下では、両系ともに微分貯蔵弾性率の低下を示し、疎架橋系の絡み合い構造変化の程度は非架橋系の場合の半分程度であることが明らかとなった。さらに、非架橋系の絡み合い構造変化は短時間側では非線形緩和弾性率からの予測と一致するものの、長時間側ではその予測と一致せず、非架橋系の絡み合い構造緩和速度は応力緩和速度よりもはるかに遅いが、疎架橋系の絡み合い構造緩和は全時間域で緩和弾性率からの予測と一致することが明らかとなった。また、2段変形後の絡み合い構造緩和の観測より非架橋系では2段目の変形により絡み合い構造が回復することはないが、疎架橋系では逆方向2段変形により絡み合い構造が回復することを見いだした。以上の結果、非線形粘弾性と絡み合い構造の対応関係、ならびに絡み合い構造変化が分子鎖配置の異方性と絡み合い密度減少の2つの因子によることが明らかとなった。
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