1992 Fiscal Year Annual Research Report
熱力学的平衡から遠く離れた高分子多相系に発現する時空構造とその制御
Project/Area Number |
04805093
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
TRAN-CONG Qui 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50188827)
|
Keywords | ポリマーアロイ / 相分離界面 / Mullins-SeKerKa不安定性 / 温度勾配 / モルフォロジー制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、熱力学的平衡から遠く離れた条件下において形成される高分子多相系界面のモルフォロジーを制御することである。 I.実験法: A)試料:ポリマーアロイとして、ポリ(2-クロロスチレン)/ポリ(ビニルメチルエーテル)(P2CS/PVME)混合系を用いた。この系の特徴は、室温近傍の温度領域では相溶し、高温(約140゚C以上)になると二相に分離する。さらに、P2CS鎖が塩素を有するため、PVMEの屈折率の差が大きく(約0.1程度)、分離した際に形成した界面が大きなコントラストの顕微鏡画像を与える。 B)方法:上記のP2CS/PVMEブレンドに金属顕微鏡下で一定の温度勾配を与えた。また、高温および低間熱源がその相分離温度を挟むように設定した。一定の温度勾配において、相分離界面が成長させ、平衡の状態に到達させてから、高温熱源を変化させ、新たな温度勾配下におけるP2CS/PVMEブレンドの相分離界面の不安定性を観測した。さらに、界面の時間発展を画像解析装置と連結させたビデオモニターより追跡した。 II.研究成果: 1)当初の予定として、上限臨界共溶温度(LCST)を有するポリスチレン/ポリ(ビニルメチルエーテル)(PS/PVME)ブレンドを用いたが、双方の屈折率の差が小さいため、モルフォロジーの観測が困難であった。そのため、コントラストの大きい混合系を開発し、上記のP2CS/PVMEブレンドを見出した。これより、この混合系は本研究に適することがわかった。 2)温度勾配が試料の位置に対して、線形である実験条件について検討した結果、温度差が約60゚C、2cm幅の試料に対して、本実験で用いられる装置では、ほぼ一定の温度勾配を設定することができた。 3)予備的な結果として、上記の条件で得られた高分子混合系の界面にミクロンオーダーのDendrite(樹枝状)構造が見られた。種々の温度勾配下におけるこれらのDendrite構造の時間発展と、熱力学の平衡から離れた尺度(Control Parameter)である温度勾配の時間変化速度との相関関係を明らかにする実験は現在、進行中である。
|
Research Products
(1 results)