1992 Fiscal Year Annual Research Report
インゲンマメの葉の調位運動における葉枕活動電位とフィトクロムの関係に関する研究
Project/Area Number |
04806002
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
佐藤 肇 北海道教育大学, 札幌分校, 助教授 (20091530)
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Keywords | インゲンマメ / 調位運動 / 電位変動 / 葉枕 / 光質 / フィトクロム / 緑色光 |
Research Abstract |
インゲンマメの小葉運動において葉枕が光を受けた場合、葉枕表面に特有の活動電位が認められ、その内部で急激な生理的変化が起こることを示唆している。本研究は、この運動における葉枕の受光とその内部の生理的変化を明らかにする基礎的知見を得ることを目的に、この運動とフィトクロムとの関係の可能性を検討した。 実験材料は、水耕法で育成された「上下傾斜型」のインゲンマメ品種、姫手亡の開花期における第4本葉の頂小葉を用いた。葉枕における活動電位の測定は、先端の直径が約0.2mmのガラス電極と前置増幅回路を取り付けた注射筒よりなるプローブを自作して行なった。このプローブ内は、1MNaCl溶液で満たした。[実験1]暗黒下で実験を行なうので、小葉の傾斜や葉枕の電位変動に影響のない光質(安全光)を探すため、カットフィルタ(日本真空光学)を用いて以下に示す波長と放射量の光を30分間葉枕に照射し、その間の活動電位と小葉の傾斜角変化を測定した。(1)白色光(343W・m^<-2>)、(2)赤色光(>620nm、154W・m^<-2>)、(3)緑色光(520〜570nm、69W・m^<-2>)、(4)青色光(<500nm、17W・m^<-2>)。その結果、照射開始から30分間の小葉の傾斜角変化は、赤色および青色光では白色光に比べ極めて小さかったが、緑色光ではそれに類似する変化を示した。一方、電位変動は光質により著しく異なり、赤色光は急激なプラス方向、青色光はマイナス方向の変化が見られた。しかし、白色光と緑色光は極めて類似した変化を示し、また赤色、青色光とは著しく異なった。従って、実験に用いた波長は葉枕の光反応の安全光とはならないことが認められた。[実験2]暗黒中と微弱光(0.3W・m^<-2>)の下で、干渉フィルタ(日本真空光学)による赤色光(680nm、4.0W・m^<-2>)と近赤外光(720nm、3.4W・m^<-2>)の照射実験を行なったが、小葉の傾斜および電位変動共に顕著な変化は見られなかった。
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