1993 Fiscal Year Annual Research Report
クワ長枝,短枝の頂芽脱離,不定節間脱離に関する研究
Project/Area Number |
04806008
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 健夫 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (30093355)
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Keywords | クワ(Morus alba) / 頂芽脱離 / 枝先脱離 / 不定脱離 / 節間脱離 / オーキシン / エセホン |
Research Abstract |
クワ(Morus alba L.)の分枝特性の1つとして、枝(長枝または短枝)の伸長停止に伴い頂芽や枝先が脱離する現象(不定脱離、節間脱離)を見出した。この脱離に関する起因や機構の一端を明らかにすることを目的として研究を進め、本年度は次のことを明らかにした。 1.低幹仕立てのクワ一年枝(古条)において短枝の頂芽や枝先が脱離するのは、萌芽後の新梢間の競合により下位や中位の新梢が伸長停止する結果である。この伸長停止する前の中位の新梢の頂芽切除によって引き起こされる不定節間脱離において、1-ナフタレン酢酸(NAA)を含むラノリンペーストを切除した先端の節間の切り口に塗布するか、またはNAA水溶液を切除した節間の全体に塗布すると、離層形成が遅れて、離層の上部の落下も遅れた。この結果、NAAによる節間脱離の抑制効果が示された。 2.一方、長枝の場合の頂芽切除による節間脱離においても、NAA水溶液を切除した節間の全体に塗布すると離層形成が遅れて、節間脱離の抑制効果が認められた。これに対して、エチレン発生剤であるエセホン(2-クロロエチルホスホン酸)水溶液を切除した節間の全体に塗布すると、節間脱離が早まった。 3.この結果、クワの枝の伸長停止に伴う頂芽や枝先の不定節間脱離においても、落葉におけるのと類似の機構により(オーキシン・エチレン説)、離層形成と脱離が促されることが示唆された。なお、NAAが離層の形成部位の決定に関与することも示唆されたが、その機構については今後の課題である。
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