1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04806009
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
筒木 潔 帯広畜産大学, 畜産学部・畜産環境科学科, 助教授 (80180024)
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Keywords | 土壌有機物 / 泥炭 / リグニン / 脂肪酸組成 / ステロール / 中性糖組成 / 環境指標 |
Research Abstract |
堆積様式の異なる4種の泥炭土断面(42試料)および泥炭地植物(24点)を用い、土壌中で安定なリグニン成分と脂質成分、さらに糖組成を環境指標とし、環境と土壌の相互作用を明かにした。 フェノール性化合物の収量は高位泥炭層で最も高く、以下、中間泥炭、低位泥炭の順に減少した。さらに、個々のフェノール性化合物の収量から計算された各種の指標は、泥炭断面中における、草本植物、ミズゴケ、木本植物の変遷を示す良い指標となった。 泥炭地の植物はそれぞれ特徴ある脂肪酸組成を示した。ヨシにはアラキジン酸(C20)が多く含まれ、ヨシを主要な構成植物とする低位泥炭の良い指標となった。高位泥炭層ではパルミチン酸の比率が高かった。炭素数16以下の飽和脂肪酸や、炭素数18の不飽和脂肪酸は比較的不安定で、下層の泥炭層ほど減少したが、ワックスの成分として重要な、炭素数20以上の長鎖脂肪酸の割合は増大した。 泥炭土から検出されたステロールはβ-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール等の植物由来のものがほとんどを占めた。富栄養的な環境の下で生成した泥炭土では、微量のコレステロールも検出された。草本を主体とする高位泥炭層のステロール含量は高く、以下、中間泥炭、低位泥炭の順に減少した。また、スティグマステロールは、特に低位泥炭層中でその割合が高くなった。 泥炭土の糖組成には、構成植物の糖組成が良く反映された。各断面とも、最表層はグルコースの割合が非常に高かったが、下層に向かって減少する傾向が認められた。他方、本来のヘミセルロース成分は、下層の泥炭層ほど増加した。4種類の有機物組成は、以上のように、泥炭の構成植物、堆積様式、堆積環境と良い対応を示した。
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