1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04806013
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
嶋林 幸英 三重大学, 生物資源学部, 教授 (10024530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 克純 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30177183)
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Keywords | 蛍光in situハイブリダイゼーション / ジヒドロ葉酸還元酵素 / DNA複製 / 主要組織適合抗原複合体 / 細胞周期 / HLA抗原 |
Research Abstract |
本研究では、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて、細胞核内のゲノムDNAの動態を多数のカラーで検出・画像化して捉え、細胞周期のS期におけるDNAの複製時期を解析することを目的としたが当初の計画に挙げた、ジヒドロ葉酸還元酵素の遺伝子領域のDNAを入手し、FISHを行ったところ、いずれも安定したシグナルを与えなかった。現在、ようやくシグナルが得られ、また、シリアンハムスターDNAによるバックグラウンドの抑制法を導入し、マルチカラーFISHが可能となったところであり、複製系の解析まで進んでいないが今後の進展が期待される。これにかわる対象として、ヒト主要組織適合抗原遺伝子複合体領域のDNA複製の進行過程を解析した。この領域のHLA-ClassI,II,IIIの領域は、数多くのDNAクローンが入手可能で、また、ClassIIとClassIIIの間にDNA組成上、GC含量の変化する領域が存在する。ClassI,II,IIIのDNA断片のそれぞれの複製時期をFISHにより検討した結果、いくつかの細胞で、ClassIIのDNAが他の領域のDNAより遅く、複製していることが示唆された。また、GC含量の変化する境界領域のDNAの複製時期を解析した結果、GC-rich領域と早期複製領域の一致が示唆された。さらに、3種のClassIII領域のDNA複製順序を解析した結果、調ベた3種の細胞株で、平均値では、同一順序で複製されるが、必ずしも、全ての核で複製順序が一致しないことが示唆された。これは、従来の分子生物学的方法では、分子集合の平均値としてしか捉えることができなかったDNAを1コピーでも捉えることを可能にし、しかも視覚化できるFISH法の有効性を示すものである。これらの事実を立証すベく、他の方法を組み合わせて検討する予定である。
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