1993 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡熱力学に基づく農産物内の輸送現象と品質同定に関する研究
Project/Area Number |
04806035
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
亀岡 孝治 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90177600)
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Keywords | 水分収着 / 拡散係数 / 貯蔵 / 農産物 / 熱力学 |
Research Abstract |
昨年度の実験結果をもとに、主としてデータ整理と農産物への水分収着と水分移動の定式化を行った。昨年度の結果では、穀類などの低水分農産物と野菜などの高水分農産物の間で明らかに水分収着・水分移動に大きな違いが認められたので、低水分農産物、高水分農産物それぞれに対して理論的な考察を行い、定式化するという方法をとった。 まず、低水分農産物内の水分収着に対しては、水分0%側を強調する理論である吸着ポテンシャル理論による定式化を行い、適合度の高い修正Dubinin-Astakhov式を導いた。一方、高水分農産物に対しては、高水分農産物を水溶液と見なして、水分活量と水分活量係数を用いた定式化を行った。これらの考え方は、実際の農産物に対してよく適合するとともに、式の使いやすさといった点でも従来の収着式よりも優れていると考えられる。 次に、農産物内での水分移動でも水分収着と同様、低水分農産物、高水分農産物に分けて理論化した。低水分農産物では、水分移動状態を液状移動と水蒸気移動の同時移動状態ととえら、反応速度論などを援用して温度変化に対してはアレニウス型、水分変化に対してはロジスティック関数型となる変数分離形式の拡散係数の定式化を行った。また、高水分農産物に対しては、溶液熱力学に基づいて定式化を行った。高水分農産物の場合、水ポテンシャル勾配と農産物の細胞の膜抵抗が水分移動係数に反映される必要があることが、レタスの貯蔵実験で明らかになったため、さらに非平衡の熱力学の手法等を援用して、これらの因子が式内部に組み込まれる形で再度定式化を行った。この結果、農産物の劣化の程度を水分移動係数から推定する事も可能になった。
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[Publications] Takaharu Kameoka: "The Sorption of Water in the Agricultural Materials" Developments in Food Engineering. 352-355 (1994)
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[Publications] 奥田 知晴: "凝固点降下法による糖水溶液の水分活量係数の測定" 三重大学生物資源学部紀要. 11号. 167-176 (1993)