1993 Fiscal Year Annual Research Report
繋留に伴う牛の行動変容及びその心理的、生産生理的、生化学的意義
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04806038
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Research Institution | Miyazaki University |
Principal Investigator |
佐藤 衆介 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80136796)
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Keywords | ヤギ / ウシ / ストレス / 繋留 / 葛藤行動 / 常同行動 / オピオイド / ドーパミン |
Research Abstract |
まず、古典的条件付け後の消去過程でみられる反応からヤギの葛藤行動の分類を行い、低レベルのストレスに対し休息・反芻で、中レベルのストレスに対し身繕い・自己舐で、高レベルのストレスに対し噛みつき・頭突きで対応することを明らかにした。この指標でもって繋留に対するヤギの反応を評価した。5頭のヤギを使った繋留実験は昨年に引き続き継続し、10カ月間の長期となった。繋留後から4週目まで、6週目から5カ月後まで、6から7カ月後までの3回にわたり行動的ストレス指標が高揚した。しかもそれぞれの高揚期には低、中、高レベルの反応が順を追って出現し、高揚期が進むにつれて全体の出現頻度は高まった。4カ月後からは1頭に常同行動が出現した。生理的ストレス指標である、N/L比は繋留後から4週間にかけて増加し、その後は好酸球の減少、単球の抑制が続き、5から7カ月後には最低となり、それぞれストレスの高揚が示唆された。繋留は強いストレスであり、それに対しヤギは数度の反応を繰り返しながら適応していくものと考えられた。ストレスへの行動反応は個体差が大きく、生理反応との関係を検討した結果、低レベルの反応を強く示す個体ではコルチゾールレベルが高く、単球が少なく、中レベルの反応を強く示す個体ではN/L比が高く、高レベルの反応を強く示す個体ではそれらの生理的ストレス反応が低いことが明らかとなり、高レベルの行動的ストレス反応は生理的ストレス反応を押さえる効果のある可能性が示唆された。行動的ストレス反応の出現機構を薬理学的に検討した結果、内因性オピオイドが関与し、行動的ストレス反応の最終段階である常同行動にはドーパミンが関与することが明らかとなった。ウシでは常同行動出現に及ぼす繋留以外の効果である、人口哺乳及び粗飼料細切の効果を検討した。吸引行動の助長及び長尺粗飼料の給与は行動的ストレス反応を抑え、ニップルの穴を調節することによる真の吸乳時間の増加は、離乳後の常同行動出現を抑えることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 佐藤衆介: "家畜福祉視点からの牛の行動と管理" 北海道家畜管理研会報. 28. 1-14 (1993)
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[Publications] 中西良孝・佐藤衆介: "畜産現場における家畜の行動的諸問題の解決法" 畜産の研究. 47. 996-1000 (1993)
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[Publications] Sato,S.&M,Abe: "The nature of tongue-playing of cattle under rarious rearing" Proc.Intn.Cong.Appl.Ethol.(Berlin). 261-263 (1993)
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[Publications] Sato,S.R,Nagamine&T,Kubo: "Tongue-playing in tethered beef cattle of the Japanese Black:Diurnal pattern,factor analysis and behayiour sequences" Appl,Amin,Behav,Sci,. ((in press))
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[Publications] Sato,S.他3名: "Haloperidol injections entirely suppress tongue-playing in cattle" J,Ethol.(in press).
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[Publications] 佐藤衆介: "新版畜産学" 新版畜産学(森田琢磨・清水寛一編)文永堂, 456 (1993)