1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04807001
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 健次 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20107246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 宏 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (10014177)
木原 和徳 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40161541)
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Keywords | 射精 / 神経回路 / 比較形態学 |
Research Abstract |
1)骨盤部の自律神経は大動脈前面を下行してくる交感神経系の下腹神経と仙骨部から起始する副交感神経系の骨盤内臓神経に区別される。ヒトではさらに仙骨部から起始する仙骨内臓神経が約半数の例で存在する。仙骨内臓神経は比較解剖学的に高等霊長類になって初めて出現する神経である。犬を用いた急性電気刺激実験では下腹神経はemissionと内尿道口の閉鎖を行うが,下腹神経を地断した1ケ月後の慢性犬で腰部交感神経幹ならびに骨盤神経の刺激実験ではemission機能は充分に、内尿道口閉鎖は微弱に観察された。これらは骨盤神経に含まれる交感神経成分すなわち仙骨内臓神経の機能の一部と考えられる。すなわち,emission機能は骨盤神経を介して代償できるが内尿道口の閉鎖は代償できない。これが下腹神経地断後の逆行性射精のメカニズムであり,この結果は新知見である。2)左右の下腹神経が起こる下腸間膜動脈神経巌を構成する線維群として木村らは大動脈前面を下行して来る上腸間膜動脈神経巌由来の中央線維群と側方から由来する側方線維群に2区分したのち,中央線維群はemissionに,側方線維群は内尿道口の閉鎖に関係するとしている。われわれの所見ではこれらの機能に関係するのはいずれも側方線維群を構成する腰内臓神経であり,いずれも第2〜4腰部交感神経節から起始する同一神経である。これはこれまでの教科書の記載と異なり,新知見である。3)自律神経機能に関する臨床ならびに生理学の成書では下腹神経は下腸間膜動脈神経巌から起始するとしている。しかし,ヒトでは腸管を支配する下腸間膜動脈神経巌と骨盤内臓を支配する上下腹神経巌は明確に区別され,下腹神経は後者から起こっている。一方,犬は両者が合一した下腸間膜動脈神経巌として観察される。これらの分離過程を形態学的ならびに生理機能学的見地から再検討することが新たな問題点となってきている。
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[Publications] KAZUNORI KIHARA: "Ability of each lumbar splamchnic never and disability of thoracic ones to jenerate seminal emission in the dog." J. Urol.147. 260-263 (1992)
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[Publications] 木原 和徳: "精巣腫瘍後腹膜リンパ節郭清(RPLND)後の射精障害のリハビリテーション" 泌尿器外科. 5. 285-290 (1992)
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[Publications] 佐藤 健次: "霊長類の骨盤隔膜,陰部神経巌ならびに仙骨部自律神経に関する比較解剖学" 霊長類研究. 7. 83-96 (1992)
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[Publications] 木原 和徳: "射精の神経支配" IMPOTENCE. 7. 66-71 (1992)
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[Publications] 佐藤 健次: "犬の中央線維群と側方線維群におけるemissionならびに大腸運動に関する検討" IMPOTENCE. 7. 117-118 (1992)
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[Publications] KAZUNORI KIHARA: "A meckanism of retrograde ejiaculation after bilateral bypogastric nevre transections in the dog" J. Urol.148. 1307-1309 (1992)