1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04807006
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
近藤 孝男 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10124223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石浦 正寛 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (20132730)
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Keywords | 生物時計 / 概日性リズム / らん藻 / 生物発光 / 遺伝子発現 / 形質転換 |
Research Abstract |
我々は新しい生物時計の分子機構の解明の可能な新しい実験系を開発することを計画し、以下の試みを行なった。幸いにも我々はらん藻を使って、これらの条件をほぼ完全に満たす実験系の開発に成功した。 レポータ遺伝子として利用されている生物発光遺伝子(ルシフェラーゼ)を移入し「人工の時計の針」として機能させることを試み、原核生物で生物発光のリズムを得ることに成功した。我々は多くのらん藻の中から遺伝子導入の容易なシネココッカス7942を選んだ。この単細胞らん藻は外来遺伝子を相同的組み換えによってゲノムに組み込んでしまう。光合成に最も重要であるD1蛋白質の遺伝子のプロモーター下流に、バクテリアの生物発光遺伝子ルシフェラーゼ遺伝子を繋ぎ、このバクテリアに組み込んだ。これに基質でを投与し、生物発光を連続的に測定する装置を開発しその発光を調査したところ、連続明下で2週間以上持続するリズムを得ることが出来た。生物発光は生物時計の測定には理想的であり、また使用したらん藻は単純な原核生物で遺伝子移入や相同的組み換えも容易なので、生物時計の分子機構解明に非常に有利な実験系となる。つぎに概日性リズムであることを確認するために光による位相変位機能、周期の温度不依存性を調べたところ、高等動植物の概日性リズムと全く同様の性質を原核生物においても確認することが出来た。これはらん藻の生物時計の解析によってヒトをも含む多くの生物の時計機構に有効な知見を得られることを期待させるものである。 さらに高感度ビテオカメラを利用し、寒天培地上のらん藻のコロニーの発光を3-4時間間隔で120時間にわたって連続観察したところ、寒天培地上の各コロニーから液体培養と同様なリズムを得ることに成功した。これによって生物時計研究者の長年の夢であった「コロニーでの生物時計」を実現し、栄養要求性の解析と同じ効率で生物時計の遺伝子の研究を可能とした。現在コロニーでの生物発光の自動化を進めており、これに成功すれば、莫大な時間と労力を要する生物時計の突然変異体の分離、遺伝子組み換え体の検定などの多数のクローンから目的のものを選別することが現実的なものとなる。なお我々が開発したこの実験系は世界初のものであり、これまでの生物時計現象の理解に基づいてこれを利用すれば、生物時計解明への最短距離に立てることを確信している。この点はこの5月に生物リズムに関する国際集会(フロリダ)で発表したときにも高い評価を得ることが出来た。
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Research Products
(1 results)