1992 Fiscal Year Annual Research Report
視覚野における感受性期型可塑シナプスと残効関連型可塑シナプスの相違とその関連
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04807009
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
今村 一之 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (30203326)
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Keywords | 可塑性 / 視覚野 / 感受性期 / 残効 / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
眼優位可塑性の発見以来、多くの研究によって、本研究でいう感受性期型可塑シナプスの調節・制御には、(i)主に視覚入力の神経活動自身に依存する機構と(ii)直接視覚系とは関係のない修飾系の関与が示されてきた。我々は両機構の収束点として皮質の未熟なアストロサイトを想定し、まずグリオトキシンの注入によって眼優位可塑性のレベルが低下するかどうかについて検討した。その結果、フルオロクエン酸の視覚野への注入によって単眼剥奪に伴う眼優位分布の開眼側へのシフトが有意に抑制されることが明らかとなり、アストロサイトの機能と感受性期可塑シナプスの密接な関係が示唆された。アストロサイトのいかなる機能が関与しているのか、より特異的な手法を用いての検討を開始すると同時に残効関連型シナプスについてもアストロサイトの関与について調べる実験に着手した。第1次視覚野のニューロンは単眼視覚刺激に対するそれぞれの応答の比によって7つのグループに分類することができ、これが感受性期型可塑シナプスを調べるスケールであるが、本年度は感受性期型可塑シナプスを調べる際に用いてきた単一光間隙像と、残効関連型可塑シナプスを調べる際に用いる高対比正弦波状格子刺激を用いて、多くのニューロンについて受容野特性を調べて両者を比較した。両者は比較的良い一致を示し、刺激の最適条件を短期間内に決定することが可能となった。又運動残効を調べるために格子状刺激の移動方向を任意の時点で反転できるようシステムを改良し、いくつかの細胞について残効関連型シナプスの存在を確認することができた。さらに高対比正弦波状格子刺激を最適条件下に一定方向へ移動させつつ、ゆっくりと連続的に回転させる(360゚/180秒)ことによって方位選択性に関するプロファイルを作成することができ、選択性を定量化し、傾きの残効に関連する可塑シナプスを解析する際に極めて有効であることが明らかになった。
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[Publications] Imamura,K.,Mataga,N.,and Watanabe,Y.: "Gliotoxin-induced suppression of ocular dominance plasticity in kitten visual cortex." Neuroscience Research. (1993)
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[Publications] Imamura,K.,Mataga,N.,and Mori,K.: "Coding of odor molecules by mitral/tufted cells in rabbit olfactory bulb:1.Aliphatic compounds." Journal of Neurophysiology. 68. 1986-2002 (1992)
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[Publications] Mataga,N.,Imamura,K.,and Watanabe,Y.: "L-threo-3,4-Dihydroxyphenylserine enhanced ocular dominance plasticity in adult cats." Neuroscience Letters. 142. 115-118 (1992)
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[Publications] Mori,K.,Mataga,K.,and Imamura,K.: "Differential specificities of single mitral cells in rabbit olfactory bulb for a homologous series of fatty acid odor molecules." Journal of Neurophysiology. 67. 786-789 (1992)
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[Publications] Imamura,K.,Shirao,T.,Mori,K.,and Obata,K.: "Changes of drebrin expression in the visual cortex of the cat during development." Neuroscience Research. 13. 33-41 (1992)