1993 Fiscal Year Annual Research Report
視覚野における感受性期型可塑シナプスと残効関連型可塑シナプスの相違とその関連
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04807009
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Research Institution | OSAKA BIOSCIENCE INSTITUTE |
Principal Investigator |
今村 一之 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (30203326)
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Keywords | 可塑性 / 視覚野 / 感受性期 / 残効 / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
麻酔・非動下のネコの17野から単一皮質ニューロン活動を記録した。まず単純なスリット光刺激を用いて受容野特性を調べ、最適刺激を用いて眼優位性を半定量的に評価した。次に高対比正弦波状格子刺激(以下、格子刺激)を用い、個々の細胞についての空間周波数特性、移動速度の影響を調べ、やはり最適条件で、方位、運動方向選択性と眼優位性を定量化した。昨年の報告の通り、両者は良い一致を示していた。その後格子刺激による条件刺激を与え、個々のニューロンレベルでの残効現象を調べた。本年度は成体に加え、幼若動物も用いて、さらに感受性期内に単眼遮蔽を行い、一側眼が視覚野ニューロンから機能的に遮断されている動物についても実験を行った。 昨年度からのデータも含めて本研究の急性実験条件下(少量のペントバルビタール、1mg/kg/hrの静脈内投与と笑気による麻酔と筋弛緩)では運動残効を示す皮質ニューロンは50%以下であり、これは細胞のクラス(単純型・複雑型)や動物の週令とは相関がないことが明かになった。これは麻酔・非動下で単眼遮蔽に伴う眼優位分布の変化が抑制されることと似ており、残効関連型可塑シナプスと感受性期型可塑シプナスの関連を示しているものと考えられるが、外来性ノルアドレナリン(NA)によって感受性期型可塑シナプスが駆動されるのに対して、皮質内NAを増加させても必ずしも運動残効現象が再現されることはなかった。 感受性期内に単眼遮蔽した動物を用いた実験により、剥奪眼の条件刺激は正常眼の光刺激に対する反応及び残効現象に何ら影響しないことが明かになった。その結果、成体でも認められる残効関連型可塑シナプスは感受性期内の単眼遮蔽を含む視覚環境の影響を強く受けていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 今村一之: "ノルエピネフリンと脳の可塑性:L‐threo‐DOPSによる大脳視覚野におけるシナプス可塑性の増強" Progress in Medicine. (印刷中). (1994)
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[Publications] Imamura,K.: "Gliotoxin‐induced suppression of ocular dominance plasticity in kitten visual cortex." Neuroscience Research. 16. 117-124 (1993)
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[Publications] Imamura,K.: "Coding of odor molecules by mitral/tufted cells in rabbit olfactory bulb:1.Aliphatic comopounds." Journal of Neurophysiology. 68. 1986-2002 (1992)
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[Publications] Mataga,N.: "L‐threo‐3,4‐Dihydroxyphenylserine enhanced ocular dominance plasticity in adult cats." Neuroscience Letters. 142. 115-118 (1992)
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[Publications] Mori,K.: "Differential specificities of single mitral cells in rabbit olfactory bulb for a homologous series of fatty acid odor molecules." Journal of Neurophysiology. 67. 786-789 (1992)
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[Publications] 13. 33-41 (1992)