1992 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経作動薬の新しい作用部位としてのシナプス前異種受容体とその遊離調節機構
Project/Area Number |
04807012
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
上崎 善規 鳥取大学, 医学部, 助教授 (40116017)
|
Keywords | シナプトゾーム / シナプス前受容体 / α_2受容体 / 神経伝達物質 / 遊離(放出)制御 / グルタミン酸 / アスバラギン酸 / γ-アミノ酪酸 |
Research Abstract |
脳各部位から調製したシナプトゾーム分画を潅流し、遊離された神経伝達物質を測定するという方法により、各種薬物のプレシナプス・レベルでの影響が検討できる。既に開発していた微量アミノ酸測定法の一部を自動化し、大脳皮質神経終末からのアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、γ-アミノ酪酸(GABA)の遊離量を調べた。非刺激時にはそれぞれ18、70、15pmol/min/mgタンパクのアミノ酸が一定して遊離されており、さらに30mM KClを2分間潅流することにより脱分極刺激を与えると、それぞれの遊離が40、200、30pmol/min/mgタンパクに増加した。また、潅流液中にクロニジン(10^<-9>〜10^<-4>M)を加えた所、非刺激時のアミノ酸遊離には全く影響を与えなかったが、脱分極時のAsp、Glu遊離増加分をそれぞれ最大70、60%抑制した。この抑制は濃度依存的であり、そのIC_<50>は36、11nMと低く、受容体を介した抑制である可能性が示唆された。GABAの遊離はクロニジンにより影響を受けなかった。各種アゴニスト、アンタゴニストを用いて検討し、このプレシナプスの受容体はアドレナリンα_2受容体と同様であった。橋、延髄のノルアドレナリン細胞の投射は大脳皮質全般に広く分布しており、これが、大脳皮質におけるアミノ酸神経の刺激興奮伝達レベルを調節していると考えられた。同様に、他の領域から調製したシナプトゾームについて検討したが、海馬、視床の興奮性アミノ酸神経終末にα_2受容体が存在していた。 以上により、従来よりよく知られている、自己の遊離を抑制するオート(自己)レセプター以外にも、他の伝達物質により遊離制御を受けるヘテロ(異種)レセプターガ興奮性アミノ酸神経終末に存在することを明らかとした。
|