1993 Fiscal Year Annual Research Report
向知性薬による神経膜カルシウムチャンネル促進機構の解析
Project/Area Number |
04807013
|
Research Institution | Tokyo Institute of Psychiatry |
Principal Investigator |
吉井 光信 (財)東京都精神医学総合研究所, 神経生理研究部門, 副参事研究員 (60091047)
|
Keywords | 向知性薬 / Nefiracetam / Ca チャンネル / G蛋白 / fura-2 / brady kinin / CAMP |
Research Abstract |
向知性薬による神経膜カルシウム(Ca)チャンネルの促進機構に関する前年度の研究で、向知性薬の作用点は膜の抑制性G蛋白(Gi/Go)にあるとの示唆を得た。本年度は、先ずこの作用部位について更に薬理学的な検討を加え、この結果をふまえて細胞内Ca^<2+>測定実験を行なった。本年度の研究成果を以下に報告する。 1.前年度と同様にNG108-15細胞の持続性(N・L型)Caチャンネル電流をパッチクランプ法にて記録した。促進性G蛋白(Gs)を活性化する目的でprostaglandin E_1(10muM)を細胞外より与えたが、持続性Caチャンネル電流には変化がみられなかった。また、phosphodiesterase 阻害剤のIBMX(100muM)投入によりGsより下位のレベルでcAMPの増強を試みたが、持続性Caチャンネル電流の増加はみられなかった。 2.Caチャンネル活性化におけるcAMP依存性を調べるため、非特異的蛋白キナーゼ抑制剤 H-7(100muM)で細胞を処理したところ、向知性薬Nefiracetam(DM-9384)のCaチャンネル促進作用は消失した。 3.NG108-15細胞に対して螢光性Ca^<2+>指示薬fura-2 (5muM) を60分間ロードし、顕微測光により細胞内Ca^<2+>を観察した。2波長励起による蛍光強度比 (340nm/360nm) をCa^<2+>濃度変化の指標とした。 4.Nefiracetam (1-10muM)の投与は細胞内Ca^<2+>の変化を引き起こさなかった。しかし、bradykinin (200nM)による細胞内Ca^<2+>上昇はNefiracetam により抑制されることが分かリ、PI反応によるCa^<2+>動員がcAMPにより抑制されることが示唆された。しかし、このPI反応抑制は一部の細胞にしかみられなかった。 5.以上の結果より、抑制性G蛋白およびcAMPが向知性薬の作用発現に関与することを示唆した前年度の研究結果が支持された。
|
-
[Publications] Yoshii,M.: "Enhancement of neuronal calcium channel currents by the nootropic agent, nefiracetam (DM-9384), in NGl08-15 cells." Brain Research. (in press).