1992 Fiscal Year Annual Research Report
学齢期における尿検査所見異常者の推移と管理の効果に関する研究
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04807038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高鳥毛 敏雄 大阪大学, 医学部, 教授 (20206775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田羅 浩三 大阪大学, 医学部, 教授 (20107022)
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Keywords | 学校検尿 / 学齢期 / 腎炎 / 蛋白尿 / 血尿 / 罹患率 |
Research Abstract |
昭和56年4月にS市の公立小学校に入学した全児童15,964人を追跡調査した。中学校3年までの間に、一回でも2次検査の対象となった者(1次検査で尿蛋白土以上または潜血十以上の者)は1996人(12.5%)いた。蛋白陽性の者の割合は、新規の者、以前からの者についても学年が上がるにつれて増加傾向にあった。潜血陽性の者の割合については、小学校1年生と中学校3年生の両学年に「新規の者」が多かったが、他の学年では両者ともに一定の傾向を認めなかった。蛋白・潜血ともに陽性であった者は、男女とも学年が上がるにつれて増加傾向にあった。医療機関受診により診断名が明らかであった者は尿所見異常者の中の66%(1318人)であった。診断名の分布をみると、無症候性蛋白尿の者466人 無症候性潜血尿の者は104人、無症候性蛋白・血尿の者は2人、腎炎またはネフローゼの者は347人、尿路感染症の者は101人、異常なしの者が、266人であった。腎炎およびネフローゼの者347人の内訳は、急性腎炎14人、慢性腎炎205人、急性・慢性不明の腎炎124人、ネフローゼ症候群4人であった。これらの者の診断時期は1年生29%、2年生10%、3年生8%、4年生7%、5年生9%、6年生9%、中学1年生9%、中学2年生13%、中学3年6%であった。小学校1年生時にすでに診断されていた者が29%いたことは、腎疾患の予防対策を考えるには3歳児検診時の尿検査とのつながりを考える必要性を示唆していると考えられた。次に、腎炎・ネフローゼの罹患率を検討した。小学校1年時、中学校3年時は、過去の検尿成績や追跡期間の上で特殊な要因があったため小学校2年生から中学校2年の間をみた。千人当りの罹患者数は1.6〜33人であった。中学2年生時が最も高かった。当該年度は以上のような尿検査所見異常者の各学年の発生状況についての検討を行なった。
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