1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04807042
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
工藤 恵子 九州大学, 医学部, 助手 (10186405)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦川 成美 九州大学, 医学部, 助手 (80232916)
今村 徹 九州大学, 医学部, 助手 (00193681)
木村 恒二郎 九州大学, 医学部, 講師 (30153191)
永田 武明 九州大学, 医学部, 教授 (00078586)
|
Keywords | 体内侵入化学物質 / 向精神薬 / キャピラリーガスクロマトグラフィー |
Research Abstract |
1。腐敗組織中トリアゾラムの高感度検出法の確立について ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤の1つであるトリアゾラムは臨床上広く用いられている。また法医学領域でも自殺や犯罪目的で使用され分析対象となる薬物である。しかしながら1錠が0.125あるいは0.25mgとごく微量のため体組織からの検出は困難であった。そこで抽出法の工夫と窒素リン検出器付きキャピラリーガスクロマトグラフィーによる分析によりいずれの体組織からも1ng/gの高感度で検出できる方法を確立した。さらにこの分析法を用いて死後4〜5日経過した腐敗組織中よりトリアゾラムを検出し考察を行った。 2。体組織中トリアゾラム濃度の死後変化について 死後長期間経過した体組織より薬物を検出した場合、検出された薬物濃度が死亡時の薬物濃度と同じであるかどうかを知ることは非常に重要である。そこでラットにトリアゾラムを経口投与し、室温で1,2日間放置したのち各体組織中のトリアゾラム濃度を測定し、死後変化を追跡した。その結果、トリアゾラム濃度は腹筋、脾臓、肝臓および腎臓で時間経過とともに著しく上昇し、死亡時濃度の10-200倍となった。また血液および肺では2〜3倍の濃度上昇に留まった。一方、大腿筋中のトリアゾラム濃度は安定しており、死亡時の血液中濃度とほぼ同じ値を示した。また脳のトリアゾラム濃度も安定した値を示した。 以上の結果、死後の体組織中トリアゾラムの濃度から死亡時の中毒の程度を判断するためには、血液だけでなく、胃からの拡散の影響を受けない大腿筋あるいは脳を分析試料として用いることが必要であると考えられた。
|
Research Products
(1 results)