1992 Fiscal Year Annual Research Report
微小循環調節における小動静脈相互依存性とその病態生理学的意義に関する研究
Project/Area Number |
04807046
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小林 弘祐 北里大学, 医学部, 専任講師 (70153632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 直定 北里大学, 医学部, 専任講師 (40050562)
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Keywords | Counter-current / 微小循環調節 / 低酸素血症 / アデノシン |
Research Abstract |
ラットの挙睾筋の小静脈に極細カテーテルを挿入し、小動静脈の分離環流をおこなった。小静脈の環流液の組成を変化させた際の動脈径および静脈径の変化を、今回補助金により購入したCCDカメラで経時的に撮影し、録画した。録画結果をビデオプリンタで印刷し、血管径を定量評価した。エピネフリン投与では、投与直後より、併走する小動脈の収縮を認めた。アデノシン投与では、投与後約30分で、末梢領域から血管収縮が始まり、中枢側は拡張した。時間を経るに従い、収縮部位は中枢側に移行した。この反応は可逆的であったが、血管径が元の状態に戻るまでに数時間を要した。従来の組織環流モデルでは、挙睾筋の小動脈はアデノシンにより拡張すると考えられていたが、今回の小静脈環流モデルでは、小動脈の収縮が認められ、現在、その原因について、アデノシンの局所投与と組織環流による投与との作用の違いについて検討中である。アデノシンは低酸素状態の組織で産生されることが知られており、今後、脳血管障害や冠血管障害の病態生理の理解に、これらの知見が役立てられる可能性がある。 併走血管における血管調節機構を調べる目的で、小静脈の環流液の酸素分圧、炭酸ガス分圧、水素イオン濃度と、生理的範囲内で変化させてみた。その結果、静脈系の変化は、動脈系に影響を与えてはいなかった。次に血管と組織との間の酸素の移動について、ヘモグロビンの酸素飽和度を分光することにより検討した。その結果、小動脈から毛細血管にかけて、酸素は血管内から組織に移行し、逆に細静脈から小静脈にかけて酸素は組織から血管内に戻っており、この傾向は、低酸素血症のときに著しかった。この酸素の移動状態は、低酸素時の血管調節機構を理解する上で重要と考えた。また、さらに、魚の浮袋にある奇網を用いて、併走血管における物質移動の検討もあわせておこなった。
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[Publications] 小林 弘祐,B.Pelster,P.Scheicl: "魚の浮袋における物質移動" 日本機械学会熱工学シンポジウム講演講文集. 102-103 (1992)
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[Publications] H.Kobayashi,B.Pelster,P.Scheicl.: "Gas exchange in Fish Suimbladder in Funktionsanalyse Biologischer System" Gustav Fisher, (1993)
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[Publications] H.Kobayashi,P.Scheicl,T.Tomita: "Diffusion and perfusion limitations in patients suffering fibrosing lung disease" Plenum, (1993)