1992 Fiscal Year Annual Research Report
リウマチ性疾患におけるサイトカイン遺伝子の発現調節機構
Project/Area Number |
04807047
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
白川 文彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (10158967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 俊行 産業医科大学, 医学部, 助教授 (10140930)
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
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Keywords | リウマチ性疾患 / 慢性関節リウマチ / 滑膜細胞 / サイトカイン / インターロイキン / 転写 / 調節遺伝子 / エンハンサー |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(以下RAと略)の炎症関節では、IL-1βやIL-6などの炎症性サイトカインが過剰に産生され、それらが軟骨・骨破壊をおこすプロテアーゼの誘導、細胞浸潤、パンヌス形成や破骨細胞の活性化に関与している。RA患者由来関節滑膜細胞にSV40ウイルスlarge T抗原プラスミドを導入し、細胞株を作製したところ、この細胞株は本来のRA滑膜細胞の特徴をよく反映し、サイトカイン産生機構を解析するのに極めて有益であることが判明した。この細胞株に、IL-1β染色体遺伝子を組込んだCATプラスミドを遺伝子導入したところ、転写開始点より約-3kb上流のエンハンサーが活性化されやすいことが判明した。またIL-6CATプラスミド導入実験から、-72bp以内の近傍領域がIL-6遺伝子発現に重要であることが判明した。さらに関節炎惹起に関与するのではないかと推測されているウイルスの一つ、HTLV-1ウイルスのpX(tax)を発現するプラスミドを導入したところ、滑膜細胞の増殖が促進されるほか、IL-1βやIL-6遺伝子が活性化されることがCAT実験から判明した。即ち、ウイルス遺伝子産物によって、滑膜細胞の増殖が促進され、またIL-1βやIL-6などのサイトカイン産生が過剰に誘導され、関節炎が惹起されうる。現在、バンドシフトアッセイやフットプリンティングアッセイにより、tax遺伝子によって活性化されるサイトカイン遺伝子発現の鍵となる核内因子を同定し、今後この核内因子の活性化機構をさらに詳細に検討する予定である。
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[Publications] 白川 文彦,他: "IL-1遺伝子の発現調節とIL-1による遺伝発現調節" 臨床免疫. 24. 903-912 (1992)
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[Publications] Shirakawa,F.et al.: "The human prointerleukin 1β gene requires DNA sequences both proximal and distal to the transcription start site for tissue-specific induction." Molecular Cellular Biology. (1993)