1992 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化性,高血圧性血管病変におけるファイブロネクチン,細胞増殖因子の役割。
Project/Area Number |
04807063
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
塩之入 洋 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20128599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高崎 泉 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00244492)
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Keywords | 動脈硬化症 / 高血圧 / 血管病変 / ファイブロネクチン / 細胞増殖因子 |
Research Abstract |
【研究目的・方法】動脈硬化性、高血圧性血管病変におけるファイブロネクチン、細胞増殖因子の役割を解明する目的で研究が段階的に施行されているが、今年度はその第一段階として食塩感受性Dahl lwai ratsを用いて、高血圧と加齢が大動脈ファイブロネクチンの発現に及ぼす影響を検討した。具体的には4週齢のラットを無作為に低食塩食群(LS)と高食塩食群(HS)とに分け、8週齢、16週齢および36週齢まで飼育し、収縮期血圧、体重を測定した後屠殺した。ただちに胸部大動脈を採取し、迅速に周囲の脂肪を除去し急速冷凍の後、超遠心法にてTotal RNAを抽出した。Total RNAはNorthern blot法にて分析した。【研究費の使途】上記の実験を施行するため、研究費の多くを動物購入飼育費用、ノーザンブロット用消耗品(イメージングプレート、ブロッティング用フィルター、放射性試薬、一般試薬)の購入費用に充当した。また、動物の血圧測定に際し助手を必要としたため、動物実験助手の給料に研究費の一部を使用した。 【今年度までに得られた結果】8週齢、16週齢、36週齢いずれにおいてもHSはLSに比べ、収縮期血圧、体重で補正された胸部大動脈および心臓の重量が有意に大であった。8、16週齢における大動脈フィブロネクチンmRNAはHSとLSでは有為差を認めなかったが、36週齢においてHSの大動脈フィブロネクチンmRNAはLSに比し、著明に増加していた。これらの全フィブロネクチンにおいて認められた変化は、tissueremodellingにおいて特に重要な役割を果たしている可能性が指摘されているElllAを有する幼若型フィブロネクチンにおいてもほぼ同様に認められた。SHRにおいて報告された大動脈フィブロネクチンmRNAの加齢による発現の増加は食塩感受性Dahl-lwaiラットにおいては認めなかった。 【総括】食塩感受性Dahl-lwaiラットにおいては、加齢および高血圧のみでは大動脈フィブロネクチンの発現が増加しないが、両者の合併は相乗的に作用し大動脈フィブロネクチンの発現を増加させている可能性がある。
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